「(でも、誤魔化されないぞ。ボクは、財務分析の話をしようとしたんじゃないんだ)」
と、ビエール・トンミー氏は、あらためて意を強く持ち、iPhone14 Proの画面のキーボードを、その意と同じく強く打って、友人のエヴァンジェリスト氏にiMessageを送った。
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「電気屋のことでも、洋品店のことでも、財務分析のことでもないんや。電気やで。部屋の電気のことや。あ、そう云うと、アンサン、今度は、『ワシの部屋には電気流れとらんけえ、痺れんでえ』とか云うやろう」
「アンタあ、ワシをバカにしとるん?どこの家に、電気椅子みたいに電気が流れて痺れる部屋があるんね?」
「いつもバカにして来とんのは、どっちや!アンサン、いっぺん、電気椅子に座って全身痺れさせてもろうてたらどうや。オゲレツが治るんとちゃうか?エエか、ワテは、部屋を照らす電灯のこと云うとんねん」
「ああ、『シーリング・ライト』のことじゃね」
「おお、せやで。ようよう…」
「でも、間違えんさんなよ」
「は?何を間違えんねん?ワテが云うてんのは、『シーリング・ライト』のこと、いうか、そういうもんのことや」
「いやの、『シーリング・ライト』は、ちゃんとした英語じゃけえね」
「そらそやろ」
「『マイナス・シーリング』とは一緒にしんさんなよ」
「は?なんで、『マイナス・シーリング』が出てくんねん?」
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「(ええーっと…『マイナス・シーリング』って、ああ、聞いたことはあるぞ。だけど…)」
と、ビエール・トンミー氏は、思考の便秘から、顔面中央にグッと皺を寄せた。
(続く)
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