「(ボクの自慢は、大学時代、簿記の成績が不可で、貸方と借方のどっちが右側か分からないという、日本で最優秀のひとつの大学の商学部の学位記を持った卒業生だということだ。一方、アイツは…)」
と、ビエール・トンミー氏は、文學修士のくせにやけに決算書に詳しい友人のエヴァンジェリスト氏に対する敗北感は一切なく、むしろ、沖縄特有だという資金調達に関わる風習であり、勘定科目であるものにまで言及する友人を不思議に思い、その思いをそのままiMessageに書いた。
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「けど、なんでアンサン、そないに熱心に『模合』のこと話すねん?」
「そりゃ、『模合』は、『頼母子講』、『無尽』とおんなじようなもんで、一種の民間金融で、その『無尽』から出来たんが多いんが『相互銀行』で、今はそれが『第2地方銀行』になっとるけえよおねえ」
「それがなんや?いうことやねん」
「なんかアンタあ、他人事じゃねえ。アンタが、『太陽銀行』のこと云うてきたけえじゃないねえ。『宮崎太陽銀行』も元は『相互銀行』で、今は『第2地方銀行』で、地元じゃあ、云うか、『宮崎太陽銀行』自身、自分のことを『太陽銀行』云うとるけど、『宮崎太陽銀行』とは別の、今の『三井住友銀行』の前身の一つの『太陽銀行』も、元は『無尽』で、そこから『相互銀行』になったんじゃけえ、『無尽』のこと、話したんよおねえ」
「あんなあ、ワテ、『宮崎太陽銀行』も『太陽銀行』も、他の『第2地方銀行』のことも興味、ぜんぜ~んあらへんで。なのに、なんで、そないな話をアンサンから聞かされんとあかんのや?」
「ほんとしっかりしてえや。アンタあ、『ミスター・メモリー』の異名もとる程、抜群の記憶力の持ち主じゃないねえ。アンタ、ワシらが『広島皆実高校』で東京いうか関東に修学旅行に行った時の列車のことも覚えとるんじゃろ?」
「ああ、よう覚えとるで。『若人号』や!」
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「(あ!『広島皆実高校』のことを認めてしまっ…)」
と、ビエール・トンミー氏は、自らが犯したミスに気付き、しばらく口を開けたままにした。
(続く)
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