「(ボクが『関係』を持った女性には、本当に『杉浦圭子』なんていなかったし、アイツは、ボクが『関係』を持った女性のことを、家内以外は知らないはずだ)」
と、ビエール・トンミー氏が、『関係』を持った女性たちの顔を思い浮かべていると、未だ強い口調のiMessageが、アイツこと友人のエヴァンジェリスト氏から入ってきた。
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「アンタ、『杉浦圭子』さんを知らんはずはないけえ!」
「せやから、知らへんて。身に覚えないで」
「それじゃ!それがけしからんのんよ」
「『それ』って?何や?」
「『身に覚えない』とか、『ふか~い』関係になったオナゴとか、そういうことを『杉浦圭子』さんのことで云うんは、失礼極まりないでえ。『杉浦圭子』さんは、聖職姿にもなったことがあるくらいじゃけえ。あ、『性職』姿じゃないけえね」
「アホか。ちゅうか、そもそも、ワテ、『杉浦圭子』はんて知らへんさかい、『聖職』姿になったか、『性職』姿になったか、分らんがな」
「『巫女』さんの姿になったんよ」
「は?なんでや?ま、どうでもエエけど」
「『週刊朝日』の表紙になったんよ」
「なんや、やっぱりゲーノー人か?せやから、ワテ、ゲーノー界のこと疎い云うてるやろ」
「『杉浦圭子』は、芸能人じゃないけえ。『週刊朝日』の表紙になったんは、大学生の時じゃけえ。早稲田大学に在学中に、『巫女』姿になって、『篠山紀信』に『写真撮ってもろうて、それが『週刊朝日』の表紙になったんよ」
「ああ、『週刊朝日』は昔、女子大生を表紙の写真にしとったなあ。確か、後にアナウンサーになった女子大生も多かったんんとちゃうかなあ」
「ほりゃ、アンタあ、やっぱり『杉浦圭子』のこと、知っとるんじゃないねえ」
「え?『杉浦圭子』はんて、アナウンサーか?」
「そうよねえ。NHKのアナウンサーで、紅白歌合戦の司会なんかもした有名な人じゃけえ。その人のことを、『身に覚えない』とか、『ふか~い』関係になったオナゴとか云うんは、やめんさいやあ」
「いや、ワテ、NHKのアナウンサーの『杉浦圭子』はんいうんも知らへんし、それに、『身に覚えない』もんは『身の覚えない』し、『ふか~い』関係になってへんもんはなってへんで。それに、アンサン、その『杉浦圭子』はんが、『巫女』姿で写真撮ったあ云うてるけど、『巫女』姿になっただけで、『巫女』さんやないやないのに、『聖職者』みたいなこと云うんは、可笑しいで」
「いやの、『杉浦圭子』の『巫女」姿は、ほんまの『巫女』さんみたいに清楚な感じじゃけえ、まあ、『聖職者』みたいなもんなんよ」
「苦しい言い逃れや。それにや、ワテ、『川の向こう』は、『広島』と認めとらんのや」
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「(そうなんだ。『川の向こう』側なんて、田舎だったんだ)」
と思うビエール・トンミー氏は、土手に登って、眼前に広がる大きな『あの川』を見ている中学生に戻っていた。
(続く)