2024年1月15日月曜日

チョコガム問題【非ハーバード流屁理屈論】(その368)

 


「(いや、アイツが、『ベルグの4月』を知っているはずはないし…あ、『茶屋』か?そうだ、『茶屋』のことを話していたんだった。だから、紅茶か?いや、『茶屋』といっても、お茶を販売している店じゃなかった…)」


と、ビエール・トンミー氏が、『ミスター・メモリー』らしからぬ記憶の混乱に陥っていると、



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「アンタあ、ひょっとして、『フィナンシェ』と『マドレーヌ』との区別がついとらんのじゃないん?」

「『フィナンシェ』と『マドレーヌ』?区別も何も、『フィナンシェ』は『フィナンシェ』やし、『マドレーヌ』は『マドレーヌ』やないか」

「はは~ん、やっぱり区別がつかんのんじゃね」

「何、云うてんねん!『マドレーヌ』はやな、貝や。貝の形してんのが『マドレーヌ』や。『フィナンシェ』は、四角やな」

「アンタあ、やっぱりさすがじゃ。すまんかったのお、失礼なこと云うて。アンタあ、形だけじゃのうて、『フィナンシェ』と『マドレーヌ』との違いを知ってんのやろ?」

「え?ああ、知ってるで。でも、そこんとこの説明は、アンサンにさせたる。どうせもう、デジタル・ハンターして調べはついてんのやろ?」

「アンタにゃ、敵わんのお。ほうよね。『フィナンシェ』も『マドレーヌ』も、基本的には、薄力粉と砂糖、卵、バターを使うけえ、似とる云うたら似とるんよ。でも、『フィナンシェ』は、焦がしバターを使うて、『マドレーヌ』は溶かしバターで、『フィナンシェ』は、卵でも卵白だけ使うけど、『マドレーヌ』は卵全部じゃし、『フィナンシェ』は、アーモンドパウダーを使うけえ、アーモンドの風味があるけど、『マドレーヌ』は、ベーキングパウダー使うけえ、ふっくらして、バターの香りが強いんよ。これでエエかいねえ?」

「ああ、そん通りや」

「で、『フィナンシェ』は、『SNCF』の大家のアンタにゃ、『馬の耳に念仏』じゃのうて、『あたりまえだのクラッカー』じゃろうけど、投資家とか財務・金融関係の人を意味するじゃろ?」

「ああ、せやで」

「じゃけえ、『パリ証券取引所』の近くのお菓子屋さんが、財務・金融関係の忙しいビジネスマンがスーツを着たまま、サクッと食べられるように作ったもんじゃけえ、『フィナンシェ』いう名前になったんじゃったよねえ?」



「おお、ちゃんと調べてるやないか。せやで」

「で、『マドレーヌ』は、宮廷に仕えとった『マドレーヌ』いう女性が作ったけえ、『マドレーヌ』いう名前になったんじゃったよねえ?」

「それでエエで」

「アンタあ、ドイツ人女性では『メルセデス』さんと『ふか~い』付合いがあったんじゃろうけど、フランス人女性は、『マドレーヌ』さんと『ふか~い』付合いがあったんじゃったかいねえ?」

「そないなん、いらん情報や」

「ほうかのお?....ほいじゃったら、何で、『マドレーヌ』は、『貝』いうか『ホタテ』の形しとるん?」

「え?...ああ、それは…その方が形が綺麗やからやないか?」

「うふっ…アンタあ、思い出しとたんじゃろ」


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「(な、な、なんだ、『うふっ…』とは?)」


と、ビエール・トンミー氏は、iMessageで含み笑いをしてみせる友人のエヴァンジェリスト氏が、携帯電話回線で繋がっている向こう側で、意地悪い光をその眼から放っているのを感じた。


(続く)






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