「(『トラさん』を『寅さん』と思ったボクが甘かった。というか、『トラさん』が『寅さん』でも誰でもいいけど、どうして、『トラさん』という人物のことなんか話してたんだか….)」
と、ビエール・トンミー氏が、虎が蠢く沼の中に放り込まれている感に襲われていると、友人のエヴァンジェリスト氏から、『虎』の文字の入ったiMessageが送られてきた。
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「アンタあ、『高野虎市』(こうの・とらいち)さん知らんのん?」
「誰や、それ?『高野虎市』はんなんか、知るかいな。云うてるやろ、ワテ、ゲーノー界のことは、興味のうて疎いねん。『高野虎市』なんちゅう、俳優か芸人か分からへんけど、ワテ、知らんねん」
「『高野虎市』は、『チャップリン』の運転手から秘書になって、更にゃあ、相続人の一人にもなったくらい、『チャップリン』のお気に入りじゃったみたいなんよ」
「へえ、そうかいな。そないな人物のことは知らへんかったで。けど、『高野虎市』はんがなんやちゅうねん?」
「アンタあ、『高野虎市』に冷たいのお」
「ワテとは関係あらへんさかいな」
「ええー!何、云うとるん!『高野虎市』は、アンタとも関係深いじゃないねえ」
「ワテの親戚にも、知合いにも、『高野』いう名前の人も『虎市』ちゅう人物もおらへんで」
「親戚でも知合いでもないかもしれんけど、『高野虎市』は、広島出身なんよ。今の広島市安佐南区八木の出身なんじゃと。元は、人間じゃのうて、今の広島市安佐南区におった『ヤギ』じゃったあ、云うんじゃねいけえね」
「ほんまエエ加減にしいや。でもやなあ、広島出身やとしても、それでワシと関係深いとはならんへんで」
「『八木』は、ワシが住んどった『翠町』より、アンタが住んどった『牛田』の方が近いんよ」
「それも強引やなあ」
「それにのお、『八木』の出身いうたら、『杉浦圭子』さんも『八木』の出身なんじゃと」
「『杉浦圭子』?ワテと『ふか~い』関係になったオナゴに、『杉浦』いうんも『圭子』いうんもいてへんかったはずや」
「アンタあ!ワシ、怒るでえ!!!!!」
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「(な、な、ななな、なんだ!?何故、ボクがアイツに怒られないといけないんだ?怒るのはいつもボクの方なんだ。巫山戯たことを云うのは、アイツの方なんだから)」
と、ビエール・トンミー氏は、アイツこと友人のエヴァンジェリスト氏の剣幕に気圧され、座った椅子の上で、思わず、身を引いていた。
(続く)
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