「(この落ち着かない気分は、アイツの修士論文(草稿だが)を読んだ時の感じと同じだ。でも、どうして、アイツは、そんな巡礼のことを持ち出してきたんだ?)」
と、ビエール・トンミー氏が、アイツこと友人のエヴァンジェリスト氏に、目的地を知らぬ巡礼の旅に連れられて行っている感に襲われているとその、エヴァンジェリスト氏から、謂れのない批判のiMessageが送られてきた。
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「でも、アンタあ、『サンティアゴ巡礼』が、『お遍路さん』みたいじゃあ、云うて、話を『お遍路さん』に持って行きんさんなよ」
「それをそのまんまアンサンに云うたるで」
「ほいじゃったら、なんで、『サンティアゴ・デ・コンポステーラ』のこと、ワシが云うとるんか、分っとるん?」
「え…あ、それは…」
「誤魔化そうとしてもダメじゃけえね」
「誤魔化す?ワテが何を誤魔化すねん?」
「アンタあ、『マドレーヌ』食べる度に、『武田久美子』の『貝殻ビキニ』を思い出して、『んぐっ!』しとるじゃろ。『武田久美子』の『貝殻ビキニ』の貝殻は、『ホタテ』じゃけえ」
「『んぐっ!』はしてへん!」
「ああ、『んぐっ!』いう云い方が好きじゃなかったんじゃったね」
「いや、そういう問題やあらへん」
「ほうよ。そういう問題じゃないんよ。要するに、アンタあ、『マドレーヌ』食べる度に、『武田久美子』の『貝殻ビキニ』(つまり、『ホタテ』)を思い出すいうオゲレツ漢じゃけど、『マドレーヌ』が『ホタテ』に形をしとるんは、『ホタテ』が聖なるもんなんじゃけえよ。『サンティアゴ巡礼』で、巡礼者は、『ホタテ』を身につけるし、『ホタテ』が、道標になっとるし、巡礼者に宿を提供する家に付けられ取ったりするんよ。あ、間違えんさんなよ、『武田久美子』の『貝殻ビキニ』のポスターが貼られとるんじゃないけえね」
「アホか。誰がそないなこと思うんや」
「『ホタテ』は、アンタによっては、『武田久美子』のシンボルかもしれんけど、キリスト教徒の人たちにとっては、『聖ヤコブ』のシンボルなんよ。『聖ヤコブ』が、布教しとる時、杖に『ホタテ』をぶら下げとったあ、とか、『聖ヤコブ』の遺体を運ぶ船にようけえ『ホタテ』が付いとったけえ、とか色々な説があるらしいんじゃけど、『サンティアゴ・デ・コンポステーラ』のあるガリシア県はスペインで唯一ホタテ貝が採れる場所として有名じゃったんじゃと」
「アンサン、またデジタル・ハンターしたんやな」
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「(そうかあ、『サンティアゴ・デ・コンポステーラ』辺りは、『ホタテ』の有名な産地だから、『聖ヤコブ』がそこに居たのか、そこで亡くなったのか知らないが、『聖ヤコブ』が『ホタテ』と結びつけられ、『ホタテ』自体が聖なるものとされるようにでもなったのだろう。ままあることだ)」
と、ビエール・トンミー氏は、持ち前の明晰さで、『サンティアゴ巡礼』に於ける『ホタテ』の意味を解釈してみせた。
(続く)
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