2024年3月16日土曜日

チョコガム問題【非ハーバード流屁理屈論】(その429)

 


「(うっ!)」


と、ビエール・トンミー氏は、想像の中で嗚咽を漏らした。外科医のように、人のエヴァンジェリスト氏の頭部を開け、その中の脳を観察していたところ、その脳が異臭を発してきたように思えたのだ。で、息を殺したまま、友人のエヴァンジェリスト氏に異臭の原因を質すようないMessageを送った。



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「『ヒーバー』て、『ビーバー』もどきで、でも、『ビーバー』やのうて、『スカンク』みたいな動物なんか?」

「アンタあ、覚え取らんの?『ミージュ・クージ vs ヒーバー』の『ヒーバー』よおね。『ヒーバー』は、『ヒバゴン』じゃあないけえね、間違えんさんなよ」



(参照:夜のセイフク[その47]



「『ミージュ・クージ vs ヒーバー』?ああ、なんか、そないなケッタイな話あったなあ」

「『ヒーバー』って、比婆山にいるらしい謎の怪獣らしいじゃろ」

「らしい?アンサンが書いた、いうか、作ったんやろに」

「じゃけえ、『ミージュ・クージ vs ヒーバー』は、一種の怪獣モンなんよ。これが映画化されたら、『ゴジラ-1.0』より話題になるかもしれんで。『山崎貴』監督が、『ミージュ・クージ vs ヒーバー』もVFXで撮りたい、云うてきたらどうしょうかあ?」

「心配あらへん。云うてこんで」

「監督が誰になるかは別として、『ミージュ・クージ 』は、実在の人物で、ワシらの広島皆実高校1年7ホームの同級生の『ミージュ君』じゃけえ、アンタが演じるんは変じゃ」

「ああ、『ミージュ君』もアンサンの犠牲者やった。アンサンに、教室でプロレス技かけられたり、読みとうもない冊子を読まされてたんや」

「いや、『ミージュ君』も雑誌『東大』に寄稿しとったと思うんよ。ワシ、自分の作品以外興味ないけえ、よう覚えとらんけど」

「アンサン、酷い奴っちゃなあ」

「それに、やっぱり主役は謎の怪獣の『ヒーバー』じゃけえ、アンタにゃ、『ヒーバー』役をしてもらいたいんよ」



「確か、街(広島市)を襲ってくる、という噂がただ続けられるだけで、『ヒーバー』は出てこんかったんやないか?」

「おお、アンタあ、さすが、『ミージュ・クージ vs ヒーバー』の熱心な読者じゃったんじゃね。よう覚えとりんさる」

「アンサン、ワテに、登場しない『ヒーバー』の役やらそう云うんか?出てきいへんもんをどう演じるんや?」

「そこがVFX監督の腕の見せどころじゃろうし、むしろ、だからこそ、アンタにしか演じられん思うんよ」

「まあ、『ミージュ・クージ vs ヒーバー』のことは、よう覚えとらへんし、覚えとく必要も感じへんかったもんやけど、『異常な世界観』を持つもんやったあ、という記憶だけはあるで」

「そう褒められると照れるで」

「褒めとらへんけど、アンサンは、『哀れなるものたち』や『ゴジラ-1.0』、『君たちはどう生きるか』みたいに、『アカデミー賞』を目指すんやないで」


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「(なんで、思い出したくもない『広島皆実高校』のことなんかを思い出せてくるんだ、アイツ)」


と思いながらも、ビエール・トンミー氏の脳裡には、学生服を着た自分とアイツことエヴァンジェリスト氏とが、『広島皆実高校』への通学路である『被服廠』(正式には、『広島陸軍被服支廠』かもしれない)の横の道を並んで歩く姿が浮かんできていた。


(続く)






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