「(だけど、アイツは確かに、『広島皆実高校』の頃から、普通の奴ではなかった。そうだ、ある意味、『アカデミー賞』程度のレベルに収まる存在ではなかったんだ)」
と、ビエール・トンミー氏は、頬を微かに、ほんの微かに歪めながら、アイツこと友人のエヴァンジェリスト氏に、賞賛とも皮肉ともとれるであろうiMessageを送った。
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「アンサンが目指すんは、『アカデミー賞』やのうて『ノーベル賞』やで。そこんとこを忘れたらアカン」
「いや、ワシは、『ノーベル賞』目指さんで。『ノーベル賞』の方から、『もろうてえや』、云うてくるんじゃ」
「ああ、そやった。『ノーベル委員会』の方から、『どうぞ貰って下さい』と云うてきて、『しゃあないなあ』と云うながら貰うんやった」
「貰うとはまだ決めとらんけどのお」
「そこが、『早稲田大学』出身の『村上春樹』との違いやな。『村上春樹』は、毎年毎年、『ノーベル賞』の受賞を期待されとるし、多分、本人も貰いたいんやろけど、ワテは、『受賞する訳ないやんか』と思うとるんや。第一に読者の数が多過ぎや」
「え?読者が多過ぎたらいけんのん?」
「せやで。その点、『OK牧場大学』出身のアンサンは、チャウでェ。読者数が世界で2~3人ちゅう『希少性』が何より違う。世界各地で読まれとるとトコロは同じやけど、この『希少性』ちゅうんが大事やねん」
「なるへそのお。それに、『村上春樹』は、アイコラ作れんじゃろう?」
「そやそや。『ノーベル賞』の『文学賞』の決め手になるんが、『誰にも思いつかない』奇想天外な世界観のアイコラや」
「『ノーベル賞』の『美術賞』も貰うことになるんじゃろうか?」
「そやな。アンサンの為に、『美術賞』も新設されるかもしれんな」
「『ノーベル賞』に『ヘア賞』ができたら、間違いのお、アンタが初代受賞者になるじゃろう」
「調子に乗るんやあらへんで。オゲレツもエエ加減にしいや」
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「(アイツ、おだてるとホント、いい気になりやがって!しかも、そのおだての言葉が、実は皮肉だと分っていて、態と額面通りに受け止める、という確信犯なんだ)」
と、ビエール・トンミー氏は、アイツこと友人のエヴァンジェリスト氏のお惚け顔の裏にある素面なもう一つの顔を思い浮かべた。
(続く)
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