「(ボクは普段は、マニュアルやら説明書やらは見ないんだが、あの時は、さすがに焦って、ネットでPASMOの説明を読んだんだ)」
と、ビエール・トンミー氏は、冷房の効いた電車の中で汗を滲ませながら、必死でiPhone14 Proの画面を見ていたことを思い出しながら、『無賃乗車』の経緯を綴るiMessageを友人のエヴァンジェリスト氏に送った。
====================================
「PASMOの説明を読んで、そこで、『上手くいってェや』と念じながらマニュアル通りに操作したら目出たく回復デケタちゅうことなんや」
「アンタの『アソコ』も、念じることで『回復』できんのん?」
「煩いで。問題はここらかや。ワテ、改札を強行突破したさかい、PASMOには入札の記録がない。即ち、無賃乗車や。この事情を改札で説明せんとアカン」
「『フリチン乗車』は、どうような事情説明してもダメじゃろう。変態以外の何者でもないけえ」
「シツコイ!けど、確かに、ワテ、人相は極悪人やろ。駅員さんは信用してくれるやろか、と思うたんや」
「何、態とらしい嘘云うん?アンタあ、歳はとったけど、オナゴたちも思わず振り返る美貌の持ち主じゃないねえ。けど、その分、男の駅員さんにゃあ、反感かうかもしれんのお」
「Apple WatchにはちゃんとPASMOが回復しとったんやけどなあ」
「で、結局、アンタあ、『フリチン乗車』で、警察に留置でもされたん?」
「改札の横にある窓口で事情を説明したんや。ほなら駅員はんから、『オンドリャ!ワレ!、無賃乗車してくさってからに。許さへんでェ』とジハカレたんや。そこを、『エライことすんまへん。もうしませんからに』と謝り倒したんや」
「謝って済むんなら、警察はいらんで」
「けど、駅員はんは、『ほなら、しゃあない、許したる。どこから乗ったんや』と訊いてきはったさかい、『へい、○○○でがす』と申告して、料金をApple Watchから引き落としてもらったんや」
「なんじゃあ、つまらんのお。まず、所轄に留置され、その後、『小菅』に入れられて、ワシが面会に行く、いう展開になるんかあ、思うとったのに」
「そやな。それならカツ丼食べられたのにな」
====================================
「(いやあ、冗談じゃない。無賃乗車状態になった時は、ホント慌てたんだ)」
と、ビエール・トンミー氏は、所轄の取調室にいる自分を想像した。
(続く)
0 件のコメント:
コメントを投稿