「(鹿児島あたりには、変った苗字が多いのは確かだ。『豊丸』じゃないが、『徳丸』という苗字もあったと思う)」
と、ビエール・トンミー氏が、自分の両親の出身地である鹿児島の苗字事情について思い出していると、友人のエヴァンジェリスト氏から、それを察したかのようなiMessageが入ってきた。
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「『上別府』も、宮崎発祥の苗字らしいんじゃけど、今は、鹿児島に多いんじゃと。で、この『上別府』さんの名前の呼び方、知っとる?元々」
「へ?『ウエ・ベップ』?『カミ・ベップ』?」
「確かにのお、『ウエ・ベップ』とか『カミ・ベップ』とか読む場合もあるんじゃろうけど、ワシが会うたことのある『上別府』さんは、そうようなんじゃないんよ」
「そないなん、どうでもエエがな」
「ウエ~ン、ウエ~ン、ビュ~、ビュ~!」
「あは?泣いてもあかん。アンサン、どうでもエエことばっかし云い過ぎやで」
「違うけえ。ワシ、泣いとらんで」
「意味のない泣き真似かいな」
「ウエ~ン、ウエ~ン、ビュ~、ビュ~!」
「くどいで。ヤメレ。今年(2024年)、70歳になってもうた爺さんのやることやあらへん」
「ウエ~ン、ビュ~!」
「短うしてもアカンもんはアカン」
「『上別府』よおね」
「やからあ、そないなん、どうでもエエがな、と云うてるやろ」
「こうように衝撃的なのにい?」
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「(泣いて見せたかと思ったら、今度は、勿体付けか)」
と、ビエール・トンミー氏は、うんざりを感じることもない程にうんざりしたのか、ただ両眼を虚空に泳がせた。
(続く)
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