「(『冷静に血迷って』なんだ。ここからが、話の本題だ)」
と、ビエール・トンミー氏が、意気込みから鼻腔を膨らませた時、その膨らんだ鼻腔を一気に萎ませるようなiMessageが友人のエヴァンジェリスト氏から入ってきた。
====================================
「アンタあ、頭はいつも『冷静』じゃけど、下の方が『血迷う』んじゃろ?」
「はああんっ!?」
「あ、あ、その『っ』は、何なん?ひょっとして、アンタあ、なんか怒っとるん?」
「怒らせるようなこと云うた自覚はあんのやな?」
「アンタあ、さっき『冷静に血迷って』云うたじゃろ?それ、要するに、理性で物事を考えながらも、自身の中でどこか理性を失うてしまった、いうようなことじゃないん?」
「それはその通りやけど、下の方が『血迷う』、いうんは、オゲレツやないか」
「『下の方』いうんは、頭以外の部分いうことよねえ。頭以外の部分いうんは、つまり、頭より『下の方』じゃないねえ」
「なんか誤魔化してる感じやで」
「ワシ、オゲレツな意味で云うたんじゃないんじゃけど、アンタあ、オゲレツな意味で『冷静に血迷う』たことも、なくはないじゃろ?」
「うっ…まあ、ないことなんかあるかいな、いうことではないけど…」
「自分の意思に反して『暴走』してしまうことがあったんじゃないん、若い頃は?」
「ああ、せやねん…」
====================================
「(そうだ。あの頃は、自分であって自分ではない、どうにも制御不能な『部分』があったんだ)」
と、ビエール・トンミー氏は、ロデオでもしているかのようであった自身の若い頃に思いを至らせた。
(続く)
0 件のコメント:
コメントを投稿