「（アイツ、どうせまた、銀座のホステスのアイコラでも作ろうとして、『台風銀座』の話を持ち出してきたんだろう）」
と、ビエール・トンミー氏は、アイツこと50年を超える付き合いの友人であるエヴァンジェリスト氏の意図を看破し、あらためて屋根を瓦にした意義を語るiMessageをエヴァンジェリスト氏に送った。
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「ええか。横浜は、宮崎とはちゃうねん。屋根瓦が台風で飛んでってまう心配はいらへんのや。せやさかい、ワテが屋根を瓦にしたのは正解やったんや。瓦はイニシャルコストは高価やったけど、永久にメンテナンスフリーなんやで。もし瓦やなかったら、確実に足場→屋根塗替えというメンテナンスが必要やったんや」
「でも、メンテナンスが必須で、しかもその費用が高額になるもんを敢えて選択して、メンテナンスを楽しむ、いう発想もあるんじゃないかのお」
「そないな発想はあらへん」
「この際、もっとメンテナンスが大変な茅葺き屋根に替えてみん？茅葺き屋根の家を維持していくんも、なかなか乙なもんじゃないん？」
「ああ、なるほどのお。茅葺き屋根は、なかなかエエもんかもしれへんなあ。天井の方でカイコを飼うたら、安定した副収入も得られるやろしなあ」
「おお、おお、ええのお。隣の土地も買うて、敷地をもっと広うして、何年か毎に家を建て替える式年遷宮的なこともするとええ」
「おお、式年遷宮か！エエのお。そしたら鳥居を玄関に立てんとアカン」
「賽銭箱もいるで」
「若い巫女も確保する必要があるな。勿論容姿で選ぶで」
「『身体検査』もしっかりするんじゃろ？」
「ああ、しっかり、隅から隅まで検査するでえ」
「アンタあ、本当にオゲレツじゃねえ」
「なんやて！アンサンに、それ云われとうあらへん」
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「（アイツから、オゲレツ呼ばわりされるのは屈辱だ。でも、ついついアイツのペースに嵌ってしまった。いや、若い巫女の身体検査と云い出したのは、ボクの方だったか）」
と、ビエール・トンミー氏は、間も無く70歳になる見ながら、ペコちゃんのように舌をペロッと出した。
（続く）
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