「(そうだ、そうだ。ボクは、『ベンツ』のことを話してたんだ)」
と、ようやく記憶が蘇ったビエール・トンミー氏は、自分の記憶を混乱に陥れた友人のエヴァンジェリスト氏に抗議のiMessageを送った。
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『せや。ワテ、『ベンツ』のことを話してたんだ。なのに、アンサン、関係ない話ばっかししおって」
「関係ないことないじゃろう」
「ワテ、『松ベンツ』のこと、話してたんや。それなのに、アンサン、宮崎の屋根瓦が台風で飛んでく、いうような話に持って行きよって」
「屋根は瓦にするんが正解や、云うたんは、アンタの方でえ」
「そりゃ、そやけど…」
「ワシは、『天窓』のこと話しとったんよ」
「そや、アンサンが、『天窓』のこと云うさかい、メンテナンス費用が高うつく『天窓』にしたんは悔いとるけど、屋根は瓦にするんが正解や、云うたんや。アンサンが、『天窓』のこと、話したからやないか」
「じゃけえ、『ベンツ』に関わること、ワシ、云うたんじゃないねえ」
「は?」
「『スライディング・ルーフ』は、クルマの『天窓』じゃろ。で、『スライディング・ルーフ』は、どの『Eクラス』の車両でもオプションなんじゃろ?」
「そや、そや、ワテ、『理想のE』にする為のオプションについて話してたんや」
「ようよう思い出したん。早う、続き話しんさいや」
「偉そうにしおって。まあ、エエわ。もう一遍、説明すんで」
「おお、『踊り念仏』じゃね?」
「は?」
「『一遍上人』いうたら、『踊り念仏』じゃろう」
「あんなあ」
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「(『は?』なんて云うんじゃなかった)」
と、ビエール・トンミー氏は、くだらないことを口にしたのは、自分ではないのに、自らを責めた。勿論、心からではなかったが。
(続く)
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