「(アイツのデジタルな調査・検索能力は確かにずば抜けているが、アイツは、その調査・検索結果を我田引水に自らのオゲレツ話やくだらんアイコラに結びつけていくんだ。その『エミール・ベルリナー』だって、『バレリーナ』だったから『円盤式』、つまり今のレコードなのかもしれないが、くるくる回る方式の蓄音機を発明したん『じゃない』なんてことを云い出すつもりだろう)」
と、ビエール・トンミー氏が、アイツこと友人のエヴァンジェリスト氏の先の先を読んでいると、エヴァンジェリスト氏から、更にその先を読んだかのようなiMessageが入ってきた。
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「あののお。『エミール・ベルリナー』は『バレリーナ』じゃったけえ、くるくる回る方式の蓄音機を発明したとか、ワシが云うと思うとるんじゃないじゃろうのお」
「うっ…ちゃうで。そないなんを発明したん『じゃない』と云い出すつもりやろ、と思うてたで」
「あののお、『ベルリナー』を『バレリーナ』とするんは、かなり無理があるし、それに、『バレリーナ』は、女性のバレエ・ダンサーのことをいう言葉で、『エミール・ベルリナー』は男性じゃけえ、もっと無理があるいうもんよ」
「アンサン、いつも無理ばっかり云うてきてるやろに」
「どっちにしても、ワシが話そうしとったんは、『エミール・ベルリナー』じゃのうて、『ブルーノ・マーズ』のことなんよ。『ブルーノ・マーズ』が、ようけえ『グラミー賞』を獲っとるけえ、『グラミー賞』(Grammy Awards=元は、Gramophone Award)のことを説明するのに、『グラミー』の元になっとる『グラモフォン』(Gramophone)を発明した『エミール・ベルリナー』のことに触れただけじゃったんよ」
「アンサン、そうやって余計な説明して、話をややこしゅうしてまうんや」
「いや、アンタが、『ブルーノ・マーズ』のことを『グラマー』な男みたいに云うけえよ」
「ちゃうやろ、『ブルーノ・マーズ』が『グラマー』やと、アンサンの方が、話を『グラマー』な男に持ってこ、としたんやで。男の『グラマー』ちゅうもんがどないなもんかは知らへんけど、プロレスラーみたいなガタイの男いうことなんやないんか?」
「うっ」
「で、その『ブルーノ・マーズ』はんは、プロレスラーやあらへんけど、プロレスラーみたいなガタイの歌手や、とでも云おうとしたんやろ?どや、図星かいな?」
「なんねえ、アンタあ、知っとったん?」
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「(やっぱりそうか。アイツのやりそうなことは、もう見えてるんだ)」
と、ビエール・トンミー氏は、アイツこと友人のエヴァンジェリスト氏を、眼下に見るように、視線を自室の床に落とした。
(続く)
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