「(まあ、考えてみたら、自分のことをただの『嘘つき』じゃあないと云うことは、つまり、自分のことを『嘘つき』だと云っているんだから、その男が、嘘をついても、驚くことでないといえばそうなんだが)」
と、ビエール・トンミー氏が、脳が腸捻転を起こしたような気分に襲われていると、同様の状況を伝えるiMessageが、友人のエヴァンジェリスト氏から入ってきた。
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「びっくりしたじゃろ?『ボク、今日、クルマの中でお客さんに云ったの、あれ、嘘ですから』と聞いた時、ワシも意味分らんで、頭の中を脳味噌がぐるぐる回る感じがしたんよ」
「アンサンのその後輩、イカレテまんで」
「ワシもそう思うとったら、『ワカ・クソーコーノ氏』は、『ボク、ナントカ町、行ったことないですし、その前に、日本酒嫌いですから』と云うてきたけえ、そりゃもう、びっくりしたんよ」
「イカレテるいうか、犯罪に近いで、それ」
「じゃけえ、ワシも、訊いたんよ。『なんで、嘘ついたん?嘘つかんでもええじゃないねえ』云うたんよ」
「そや、嘘つく必要ないやんけ」
「それがの、『いや、ああ云った方が、お客さん、嬉しいんじゃないかと思ったんですよ。ボク、他人を幸せにする嘘をつくんです』と嘯いたんよ」
「アンサンの周り、まともな人間おらへんのか?『ヒモ』もおったし(エエお人やったけど)、独りで家の外にも出られへん92歳の親を見捨てて、マンション買うて、家を出てもうたモンもおるし、空出張する奴、小菅に収監され、結局、実刑食らったモンもおるし」
「友だちに『インモー』好きの変態もおるけえ、忘れんといてえや」
「ワテは、『嘘つき』のアンサンのその後輩とはちゃうで。表向きは紳士やけど、裏では確かに『インモー』好きの変態や。でも、『嘘つき』とはちゃいまんねん。表裏があるだけなんや」
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「(ボクをアイツの周りのイカレタ連中と同じに思ってもらっては困る)」
と、ビエール・トンミー氏は、独りいる自室の壁の鏡に映る自身の姿を見て、その紳士然とした姿に満足し、頷いた。
(続く)
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