2024年8月12日月曜日

チョコガム問題【非ハーバード流屁理屈論】(その578)

 


「(表向きは、ボクは真面目な西洋美術史研究家なんだ。裏ではいくら『インモー』に興奮しているとしても、その姿は誰も知らない)」


と、ビエール・トンミー氏が、独りいる自室の壁の鏡に映る自身の顔が、口をだらしなく開け、イヤらしく舌舐めずりする様を想像していると、それを見透かしたのかと思わせるiMessageが、友人のエヴァンジェリスト氏から入ってきた。



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「おお、そこじゃ!」

「え!な、な、な、なんだ!?」

「そう、問題は、『ウラナイ』なんよ。裏表のあるアンタと違うて、ワシは『裏がない(ウラナイ)』人間じゃけえ、その意味では、アンタが思う通り、ワシは『裏がない(ウラナイ)営業』なんじゃけど、尊敬する先輩の天才SEがワシのことを『ウラナイ営業』云うたんは、別の意味なんよ」

「別の意味でもその意味でもどうでもエエけどな」

「『ウラナイ(売らない)営業』いう意味じゃったんよ」

「なら、最初から、そう云うてきたらエエやろ。でも、それも意味不明やで。営業なのに『売らない』とは、これ如何に?」

「先輩の天才SEは、ワシに云うたんよ、『エヴァン君、(モノ、システムを)売らないよね」と」

「アンサン、営業やったんやろ。営業は、売るんが仕事やあらへんのか?」

「じゃろ。普通は、そうじゃろう。でものお、ワシ、確かに、『売ろう』とはせんかったんよ」

「アンサン、営業として実績、かなり上げとったんやなかったんかいな?」

「確かに、結果、実績は残してきたで。でも、ワシは確かに『売ろう』とはせんかったんよ。先輩の天才SEは、やっぱり『天才』じゃけえ、ワシのことをよう見とってじゃった。ワシ、お客さんに、(モノ、システムを)買うて、とは云わんかったんよ」



「でも、お客はんの方が、買う、云うてきた、ちゅうことか?」

「まあ、そうじゃねえ。ワシは、お客さんに、(モノ、システムを)買うて、とは云わんで、他社(同業他社)の状況なんかを説明するんよ。お客さんが知りたがっとってじゃけえ。他社は、カクカクシカジカのことで困っとられるとか、コウヨウなことをしょうかあ、と思うとってじゃ、いうことなんかを紹介するんよ。そうすると、お客さんは、『ああ、ウチも同じようなことで困っとる』とか『ウチも同じようなことをしようかと考えとる』とか云うてきてんよ。で、『他社は、どうしてとってなん?』とか訊いて来られるけえ、ワシは、そういう問題を解決する自分の商品を紹介して、他社もそれを買われた、いうようなことを説明するんよ。そうしたら、お客さんの方から、自分のとこもそれを買いたい、云うてきちゃってじゃったんよ。それだけよ」

「アンサン、エエ営業やったんやな、オゲレツやけど。ワテも、モノを売ろうとしてくる営業からは買わへんさかいな」

「じゃ、『ヤナセ』の営業も『ウラナイ(売らない)営業』じゃったん?」

「おお、せやった!」


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「(そうだったんだ。『松ベンツ』の話をしていたんだ)」


と、ビエール・トンミー氏の脳裡に、久方振りに、納車を待ち焦がれている『ベンツ』の新型Eクラスの姿が蘇って来た。


(続く)






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