「(あの娘と何回も偶然に会ったのは、考えてみれば、運命的とも云える。なのに、どうしてボクは『行動』に移さなかったんだろう?『行動』に移すには、あの娘は清純過ぎたのかもしれない)」
と、ビエール・トンミー氏が、今更ながら、若干の後悔の念を抱いていると、友人のエヴァンジェリスト氏から、『「会うたんやから、しゃあないやないか」』という言葉尻を捉えるiMessageが入ってきた。
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「ええ!?アンタ、『ヴェリテ』さんに電車で会うんを『しゃあない』と思うとったん?」
「いや、そういう訳やあらへん」
「じゃあ、嬉しかったん?」
「そらまあ、なかなかイイ娘はん、感じのエエお嬢はんやったさかい、会えて、悪い気はせんかったで」
「え?会うて、『悪い気』を起こしたん!?」
「今度は、言葉尻を捉えるんやのうて、聞いた言葉を捻じ曲げるんか!」
「でも、『パスコだ!ガマンできん』かったんじゃないん?」
「それや!そもそも、そこから捻じ曲げてきてんのや、アンサン」
「どこの『底』から捻じ曲げたあ、云うん?『底』いうんは、アンタのお尻のことなん?ワシ、アンタのお尻、触りとうないし、触って捻じ曲げとうないけえ」
「ああ、ワテも触られとうない。アンサンがそもそも捻じ曲げてきたんは、『バスコ・ダ・ガマ』や。『バスコ・ダ・ガマ』を『パスコだ!ガマンできん』と捻じ曲げてきたんや」
「何、云うん!ワシ、『バスコ・ダ・ガマ』で『パスコ・ダ・ガマンデキン』とボケるつもりもないけえ、云うたで」
「それが、アンサンのいつもの手や。『~するつもりはない』と云うて、でも、それは言葉だけで、実際には、『~するつもりはない』ことに話を持ってくんや。『バスコ・ダ・ガマ』とは、全く関係あらへん『パスコ』に話を持ってったんや」
「違うけえ、ワシ、『パスコ』に話を持ってくつもりなかったのに、アンタが、<『パスコ』!?>云うて、懐かしみ始めたんよ。『ヴェリテ』さんのこと、懐かしかったんじゃろ?」
「まあ、『ヴェリテ』はんのことは、懐かしい思い出や。あ、ちゃう、ちゃう!もう、『パスコ』のことは、どうでもエエんや。問題は、『バスコ・ダ・ガマ』や。『希望峰』や。アンサン、『希望峰』のことを、知らん、とボケてきたんや。フランス文學修士様のアンサンが、『希望峰』を知らん訳ないやろ」
「知らんもんは、知らん。ワシ、『岸洋子』な気分じゃ」
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「(来た、来た、来た!また、来たぞ!懲りずに、また、ボケをかましてくるつもりだ)」
と、ビエール・トンミー氏は、戦闘意欲を脳内での腕捲りで示した。
(続く)
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