「(アイツ、『天地創造』を『天地真理』と惚けたふりして、こっちを油断させていたんだ。ああ…)」
と、ビエール・トンミー氏が、窮地に追い込まれた状況から如何に脱するか、と考える間も与えず、アイツこと友人のエヴァンジェリスト氏は、ビエール・トンミー氏が予期していた通りの質問をiMessageで投げてきた。
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「ええー?!アダムとイブは、英語喋っとったん!アダムとイブは、西暦5世紀頃以降の人間なん?」
「アホか。『アダムはん』と『イブはん』は、この世界の最初の人間や。西暦5世紀どころか、それよりずっとずーっと昔の人間や」
「なんじゃあ、まだ言語としての英語が成立しとらんかった時の人でも英語しゃべれるんじゃないねえ。ほいじゃったら、生粋の栃木の人が、広島弁を喋ってもええんじゃないん?」
「アンサン、転んでもただでは起きん男やなあ。まあ、しゃあないかもしれへんな。わてな、最近、久しぶりに、『カルメン』の『ハバネラ』聞いたんや」
「ああ、そりゃ、よう効くじゃろう。相当なもんじゃろう」
「なんや、アンサンにしては珍しいやんけ、『カルメン』の『ハバネラ』を知っとるとは」
「いや、実際、口にしたことはないんよ」
「妙なこと云うやないか。『ハバネラ』は、自分が口にするもんやのうて、聞くもんやで」
「ワシ、口に入れたも経験ないけど、ありゃ、耳に入れても相当なもんじゃないんかのお。で、アンタあ、どれのを口にしたん?」
「どれもこれもあるかいな。自分が口にするもんやのうて、聞くもんやで」
「ああ、辛さが耳にまで来て飛び上がるような感じになるんじゃね。『喜多方』と『平田村』のコラボした方なん?それとも、『エースコック』のなん?」
「はああ???『平田村』は、知らへんけど、『喜多方』とか『エースコック』とか、ラーメンじゃあるまいし」
「何云うとるん?『喜多方ラーメン』の『河京』と『激辛ハバネロ』の栽培をしとる『日本一辛い村』の『平田村』のコラボした『ハバネロ味噌ラーメン』を食べたんか、それとも、『エースコック』の『辛旅 生地獄ジャン入り 喜多方激辛醤油ラーメン』を食べたんか、と訊いとるんじゃないねえ。『寿がきや』の『辛辛魚ラーメン』なんかも『ハバネロ』を入れとるらしいけえ、他にももっと『ハバネロ』を入れたラーメンはあるんじゃろうけど」
「アンサン、ほんま懲りん奴っちゃなあ。誰が、『ハバネロ』の話ししてんねん。そないに『ハバネロ』が好きやったら、アンサンの口と耳だけやのうて、眼にも鼻にも、臍にも、ケツの穴にも、身体中の穴ちゅう穴に『ハバネロ』入れたろか!」
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「(ほんと、アイツが、『ヒーフー』云って、転げまわるところを見てみたいもんだ)」
と、ビエール・トンミー氏は、アイツこと友人のエヴァンジェリスト氏がその辺をのたうちまわる様を想像して笑みを零した。
(続く)
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