2018年12月6日木曜日

【ビエールのオトナ社会科見学】ホイコーローを作る[その47]







「は?ああ….」

ビエール・トンミー氏は、妻の質問を理解していなかった。

「アータ、どうしたの?ツバ飲み込んだりして」

ああ、そういうことだったのか。

「ん、まあ、そのお…..」
「もう直ぐ、お味噌汁、飲めるんだから我慢して」
「あ、そうだね」

いつの間にか、テーブルの上、目の前に、カップに入った味噌汁が置いてあった。

『調理体験』の前に、『うま味体験』があるのだ。

「助かったわね。ふふ」
「(ん?)」

また、松坂慶子に酷似した女性に酷似した女性かと思ったが、松坂慶子に酷似した女性に酷似した女性は、『うま味体験』の説明スクリーンを見ていた。

「私も大人になったら、網タイツ履こうかしら」
「(大人になったら….?)」



語りかけてきていた視線は、『ユキ』と呼ばれた少女のものであった。

「(んぐっ!)」
「ふん、やっぱり。ロリコンね!」
「(いや!...んぐっ!)」

ビエール・トンミー氏は、再び、両手で股間を強く抑えた。


(続く)



2018年12月5日水曜日

【ビエールのオトナ社会科見学】ホイコーローを作る[その46]







視線を感じた。

「(んぐっ!)」

両手で抑えたままであった股間が、自ら意思を持ったかのように、反発してきた。

「(ま、ま、『松坂慶子』…..)」

いや、松坂慶子に酷似した女性に酷似した女性が、自分を凝視めていることに、ビエール・トンミー氏は気付いた。

「やっぱり、網タイツが好きなのねえ」

また、視線だけで話しかけてきていた。

「(ええ、ええーっ!)」
「(奥村チヨさんもいいけど、アタクシの方がいいのじゃなくって?」
「(いや、別に奥村チヨが好きな訳ではなく….)」
「そりゃ、太ももだって、ふくらはぎだって、アタクシの方が肉感的だものねえ」



「(んぐっ!)」
「ん、まあ!」
「(イヤイヤ、違う、違う!)」
「いいの、いいのよ。殿方って、そんなもの。自分では抑えきれなくなるのよねえ。ふふ」
「(んぐっ!)」

ビエール・トンミー氏は、より強く股間を抑えた。

「アータ、どうしたの?」


(続く)


2018年12月4日火曜日

【ビエールのオトナ社会科見学】ホイコーローを作る[その45]







「あら、どーしたの。アータ?」

マダム・トンミーが、夫の声に反応した。ビエール・トンミー氏は、

「え!?なんで?」

と、思わず声を出していたのだ。

「い、いや…..」

『アナタのことぅを』

という歌声と共に、奥村チヨが、こちらを指差した….はずであったが、こちらを差す指の向こうにいたのは、奥村チヨではなかったのだ。

「(松坂慶子!)」

こちらを指差していたのは、松坂慶子であった。いや、そんなはずはないのだ。奥村チヨが『恋泥棒』を出した頃(1969年頃)、松坂慶子はまだ主演(映画『夜の診察室』)デビューはしていなかったはずだからだ。



「『え!?なんで?』って、云わなかった?」
「あ?ああ…..」

その時、初めて自分が股間を抑えていることに気付き、より動揺しながらも、ビエール・トンミー氏は、答えた。

「いや、なんで『味の素』で味噌汁が美味しくなるのかあ、って」
「なーによ、それをこれから体験するんじゃないの」

なんとか誤魔化せた、と思った時であった。

「(ん?)」


(続く)



2018年12月3日月曜日

【ビエールのオトナ社会科見学】ホイコーローを作る[その44]







「(え!?牛田?)」

川崎の『味の素うま味体験館』にいるはずのビエール・トンミー氏の眼には、中学生の自分の姿が見えていた。

『いーちどだけ、お茶なんかあ....ん』

「(やっぱり、『恋泥棒』…..)」


『ごめんね、ジロー』に続き、奥村チヨのヒット曲が聞こえてきていたのだ。

「(牛田中学でも、ボクは純粋であった)」

小学生時代を山口県宇部市で過ごしたビエール・トンミー氏は、中学生になる時、親の転勤で広島市に引っ越した。住まいは、牛田、学校は、牛田中学であった。

『にーどがさんど…』

「(んぐっ!)」

その時、ビエール・トンミー氏は、自分が股間を抑えたことに気付いていなかった。

「(あ、あ、あ、….網タイツ!)」

そうだ!奥村チヨは、網タイツを履いていた。

『すーきに….』

「(んぐっ!)」

『恋泥棒』のレコード・ジャケットの奥村チヨは、網タイツを履いていたのだ。

「(そうだ…あの網タイツを見た時から、ボクは変態になったのかもしれない…..」

『アナタのことぅを』

という歌声と共に、奥村チヨが、こちらを指差した。

「(んぐっ!んぐっ!)」

ビエール・トンミー氏は、より強く股間を抑えた。

「え!?なんで?」


(続く)


2018年12月2日日曜日

【ビエールのオトナ社会科見学】ホイコーローを作る[その43]







「(あの頃の『味の素』は、『AjiPanda®️』の瓶ではなかったけど、今と同じように卓上用の瓶入りもあった。でも、缶入りのものあった….)」

ビエール・トンミー氏の眼差しは宙に向き、昭和41年の宇部に飛んでいた。

「(母が、『お漬物に味の素をかけてね』と云っていた。小学生のボクは、何故、漬物に味の素をかけるのか分らなかった。でも、何の疑問を持つこともなく、母の言葉に従った。まだ、純粋であった。変態ではまだなかった、多分….)」

小学生時代をビエール・トンミー氏は、山口県宇部市で過ごしたのだ。

「(琴芝小学校では、ただただ鶏の世話をしていただけだった)」

その時、

「ごめんね」

という声が聞こえた。

「(え?『ごめんね』?……..)」

『ごめんね』と云ったのは、松坂慶子に酷似した女性であった。『ユキ』と呼ばれた少女の隣に座ったものの、少し近く座りすぎ、少女に肘が軽く当ったのだ。そこで、『ごめんね』と云ったのであった。



しかし…….

昭和41年の宇部にワープしていたビエール・トンミー氏の耳には、

『ごめんね、ジロー』

という歌が聞こえてきていた。

「(奥村チヨ……)」

 そう、奥村チヨの歌が聞こえていたのだ。

「(いや、ボクは、奥村チヨが好きだった訳ではない)」

『ごめんね、ジロー』

「(いや、奥村チヨの容姿は小悪魔的であったが、アソコが『反応』したのはそのせいではない…..はずだったけど….)」

『最初は、好きーだとお….』

「(え!?『恋泥棒』…..)」

そうだ。今度は、奥村チヨの『恋泥棒』という歌が聞こえてきたのだ。

「(ど、ど、どうして…..?)」


(続く)



2018年12月1日土曜日

【ビエールのオトナ社会科見学】ホイコーローを作る[その42]







「(ま、まさか……)」

と思う間もなく、ビエール・トンミー氏の眼には、『網タイツ』が入ってきた。

「(『松坂慶子』…..)」

いや、『松坂慶子』ではなく、『松坂慶子』に酷似した女性であった。そして、脚に『網タイツ』を履いてはいなかったが、ビエール・トンミー氏の眼には、『網タイツ』が見えてしまったのだ。

「あら、皆さん、よろしくね」

『松坂慶子』に酷似した女性も同じ班であった。

「(何故だ…..?)」

と疑問を持ちながらも、『反応』の程度が更に増す。

「ご主人様も、料理をなさるの?『ご立派』ねえ」

『松坂慶子』に酷似した女性は、ビエール・トンミー氏を凝視めるようにして云った。

「(『ご立派』….!?んぐっ)」

『ご立派』という言葉に、『反応』は極限まで達しそうになった。

「(いや、ボクのは、そんなに『立派』では…..ああ、何を考えているんだあ!)」

『反応』が極限に達するのを抑えようと、ビエール・トンミー氏は、テーブルの上のものを見た。

『味の素』である。『AjiPanda®️』の瓶の『味の素』である。



「(懐かしい…..。あの頃は、『AjiPanda®️』の瓶ではなかったけど….)」


(続く)


【ビエールのオトナ社会科見学】ホイコーローを作る[その41]







「(いや、違うんだ……..ん!)」

『ユキ』と呼ばれた少女の視線に反論しながらも、少女の横顔を見たビエール・トンミー氏のある部分が、更に『反応』した。

「(や、や、やっぱり『有紀と太陽と月と』の頃の『有紀』さんだ….)」

10代の『内田有紀』の横顔がそこにあるのだ。



「宜しくお願いしますわ」
「ええ、こちらこそ」

『内田有紀』と妻が会話をしている。

「ご主人様、よろしく」
「あ….ああ、ええ….」

いきなり声を掛けられ、ビエール・トンミー氏はまともな返事ができなかった。しかし、『反応』の程度が増す。

「『ユキ』も素敵なオジサマにご挨拶なさい」
「はい、ママ。オジサマも色々と教えて下さい」

『ユキ』と呼ばれた少女は、真正面から『素敵なオジサマ』を凝視めた。

「(んぐっ!)」

と唾を飲み込んだ時であった。

「やっぱり、ロリコンなのねえ!」


(続く)