視線を感じた。
「(んぐっ!)」
両手で抑えたままであった股間が、自ら意思を持ったかのように、反発してきた。
「(ま、ま、『松坂慶子』…..)」
いや、松坂慶子に酷似した女性に酷似した女性が、自分を凝視めていることに、ビエール・トンミー氏は気付いた。
「やっぱり、網タイツが好きなのねえ」
また、視線だけで話しかけてきていた。
「(ええ、ええーっ!)」
「(奥村チヨさんもいいけど、アタクシの方がいいのじゃなくって?」
「(いや、別に奥村チヨが好きな訳ではなく….)」
「そりゃ、太ももだって、ふくらはぎだって、アタクシの方が肉感的だものねえ」
「(んぐっ!)」
「ん、まあ!」
「(イヤイヤ、違う、違う!)」
「いいの、いいのよ。殿方って、そんなもの。自分では抑えきれなくなるのよねえ。ふふ」
「(んぐっ!)」
ビエール・トンミー氏は、より強く股間を抑えた。
「アータ、どうしたの?」
(続く)
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