マダム・トンミーの担当は、『ピーマン炒め』である。
「おばさま、すごーい!」
マダム・トンミーは、さすが主婦である。その手慣れた手つきに、『ユキ』と呼ばれた少女が、歓声を上げた。
「おばさま、綺麗でお料理も上手!オジサンには勿体無い」
「(え?)」
ビエール・トンミー氏は、首を振った。『ユキ』と呼ばれた少女が、『変態のオジサンには勿体無い』と云ったように聞こえたのだ。
「ええ、変態よ。でもね、おばさんね、オジサンのそこも良くて結婚したの。ふふ」
「(え?...まさか!)」
ビエール・トンミー氏は、更に首を振った。妻の声が聞こえた、と思ったのだ。
しかし、実際には、妻は、
「はい、『ユキ』ちゃん、今度は、あなたの番よ」
と、炒めたキャベツとピーマンをパットに移したフライパンを『ユキ』と呼ばれた少女に渡すところであった。
(続く)
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