2018年12月12日水曜日

【ビエールのオトナ社会科見学】ホイコーローを作る[その53]







「あらまあ、いいんじゃないの、アータ」

マダム・トンミーは、夫の動揺も知らず、そう云った。

「う、う、うーん…..」

ビエール・トンミー氏は、返事なのか、呻き声なのか分からない声を発した。

「(マズイ!.....嬉しいけど、マズイ!)」

『ウチに来て頂いて、Macのこと教えて欲しい』という『内田有紀』に酷似した女性の申し出は、ビエール・トンミー氏を混乱の渦に陥れたのだ。

「(ボクは、『Mac』を使っているが….)」

そうだ、Macを使っていることは、嘘ではなかったのだ。

「(でも、ボクは、『Mac』は使っていない)」

ビエール・トンミー氏は、エヴァンジェリスト氏的に云うと、『己を見る男』であった。自らの『嘘』を自覚しないではいられなかった。

「是非、お教え頂きたいわ」

という『内田有紀』に酷似した女性の声を聞き、股間を抑えながら、

「(ボクは、確かにハードウエアとしての『Mac』は使っている。だって、『Mac』は本当に美しいからだ。でも、ハードウエアとしての『Mac』上で使っているのは、Windowsだ。ああ、ボクは『嘘』をついてしまったのだ)」

と、誰にでもなく、懺悔した。



「『ユキ』もおじさまに色々と教えて頂きたいでしょ?」
「うん!色々とね!」

と、『ユキ』と呼ばれた少女も媚びるような視線をビエール・トンミー氏に送ってきた。


(続く)



0 件のコメント:

コメントを投稿