「アータ、またどうしたの、喉を鳴らして?」
夫の異変に気付いたマダム・トンミーが、ビエール・トンミー氏に声を掛けた。
「あ?」
どうやら、股間の異変は、喉まで鳴らしていたらしかった。
「ああ、早くホイコーローを食べたいのね。いい匂いですものね」
「ああ、そうだ。とてもいい匂いだからね」
上手く誤魔化せた、というか、上手く妻が勘違いしてくれた。ビエール・トンミー氏は、ホッとした。しかし…….
「ふん、アタシの眼は誤魔化せないわよ!」
甘えるように母親のエプロンの端を掴みながらも、『ユキ』と呼ばれた少女が、こちらを睨んでいた。
「(いや、違う!そうじゃないんだ!)」
「何が、『そう』じゃないのよ?」
「(いや、いい匂いだから、早く食べたくなったんだ)」
「ふん、食べたいのは、ホイコーローじゃないでしょ!」
「(え?)」
「ママでしょ、食べたいのは!」
「(き、き、君は、中学生なのに、なんてことを!)」
「あら、ママじゃなかったら、アタシなの?このロリコン!」
「(ま、ま、まさか!)」
「じゃ、やっぱり、私なのかしら?」
「(え!え!ええー!)」
『松坂慶子』に酷似した女性が、秋波を送ってきていた。
(続く)
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