「あらま、やはり年齢を重ねた方がお好きなのねえ」
「(ん?)」
両手で股間を抑えたまま、ビエール・トンミー氏は、唇の間から舌を出して、少しく唇を舐めた『松坂慶子』に酷似した女性から、その隣の少女に視線を横にずらした。
「(違う…)」
その声は、『ユキ』と呼ばれた少女のものではなかった。
「(言葉つきも違う….大人な感じだ….まさか….)」
視線を更に横にずらした。
「(んぐっ!)」
『ユキ』と呼ばれた少女の母親だ。そう、『内田有紀』に酷似した女性が、こちらに視線を送っていた。視線で声を送ってきたのだ。
「(んぐっ!)」
そして、『内田有紀』に酷似した女性は、飲みかけであったらしいカップの味噌汁を飲み干し、唇の間から舌を出して、少しく唇を舐めた
「(んぐっ!....んぐっ!んぐっ!)」
ビエール・トンミー氏は、両手で抑えるだけでは股間の異常を抑えきれず、座ったまま上半身を前屈した。
「あら、アータ、どうしたの?お腹でも痛いの?」
その様子を見て、マダム・トンミーが心配した。
「う、う、うーっ。い、いや、大丈夫だ。ちょっと腰が痛くて」
ビエール・トンミー氏は、股間を抑えていた両手の内、右手を股間から外し、体の後ろに回し、腰を数回叩いてみせた。
「あら、ご主人、大丈夫?」
「え?」
『内田有紀』に酷似した女性が、声をかけてきたのだ。本当の声で、である。
「痛い程、腰をお使いですの?」
「え?え?ええー?」
(続く)
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