2018年12月9日日曜日

【ビエールのオトナ社会科見学】ホイコーローを作る[その50]







「いえいえ、奥様、ぜーんぜん、ダメですの。もう歳ですもの」

マダム・トンミーは、首を左右に振りながら、『内田有紀』に酷似した女性にそう言葉を返した。『痛い程、腰をお使いですの?』と訊かれ、戸惑う夫に代って答えたのだ。

「(ええ!なんてことを云うのだ)」

ビエール・トンミー氏は、妻の言葉に、腰を叩くことを忘れた。

「あら、まだまだお若くて、でいらっしゃるように見えますわ。ふふ」



「(せ、せ、『精力』的!...うっ!)

ビエール・トンミー氏は、またもや、両手で股間を強く抑えた。

「ふん!大人ってフケツ!」
「(へ?)」

『ユキ』と呼ばれた少女だ。明らかに批判的な視線を送ってきていた。

「ママも、アンタもアンタの奥さんも、ここに何しに来たのよ!ホイコーローを作りに来たのよ!」

少女の言葉に、ビエール・トンミー氏にしか聞こえない声であったが、その声に促されたかのように、ホイコーロー(回鍋肉)の作り方の説明が始った。


(続く)



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