「(は?)」
ビエール・トンミー氏は、声の方に、心に聞こえてくる声の方に顔を向けた。
「貴方っていう人は、また私を見て興奮してらしたの?」
『松坂慶子』に酷似した女性が、怒ったようでもあり、悦んでいるようでもある表情でこちらを見ていた。
「(え?ええ?)」
「私が、おにぎりを咥えるところでも見て、『想像』してたのねえ」
「(一体、何を『想像』するんですか?)」
「まあ、恥ずかしい!そんなことを私に云わせるの!」
『松坂慶子』に酷似した女性は、少女のように頬を紅に染めた。その瞬間、
「(んぐっ!)」
ビエール・トンミー氏は、まさに、今度は、『松坂慶子』に酷似した女性で『想像』したのだ。
「あああ、もうイヤ!ホント変態!ママで興奮したと思ったら、今度は熟女で興奮なの!」
『ユキ』と呼ばれた少女は、ビエール・トンミー氏と『松坂慶子』に酷似した女性との『やり取り』を聞いていたのだ。
「(いや、ボクは、『松坂慶子』には関心はない……)」
「今度はまた、アタシで興奮するの?このロリコン!」
向かいに座る3人の女性に翻弄され、ビエール・トンミー氏は、打ちのめされ、肩を落とした。
「(違うんだ…..ボクが気になっているのは、『有紀』さんだけなんだ)」
と言い訳しながらも、己を見る男であるビエール・トンミー氏は、こう認めざるを得なかった。
「(でも、ああ、確かに……)」
(続く)
0 件のコメント:
コメントを投稿