2021年1月7日木曜日

バスローブの男[その66]

 


「(んぐっ!んぐっ!)」


『ピストル』が、いや、『ロケット』が、生き物のように急な成長を始めた。


「(んぐっ!んぐっ!んぐっ!)」


『ロケット』は、『逆さクラゲ』の部屋の円形ベッドの上で、ビエール・トンミー氏と『ナメクジ』プロレス』をしながら、ビエール・トンミー氏のズボンの中に差し込んだ『マダム・トンミーとなる前のマダム・トンミー』の右手の中にあった。


「(違う!ピストルじゃないわ!)」


ビエール・トンミー氏の『凶器』が、ピストルではないことは認識していた。


「(でも、違うわ!ロケットでもない!)」


噂の『原宿の凶器』は、ロケットでもないことを認識した。


「(何?何なの?!)」


マダム・トンミーがそう思う中、『原宿の凶器』は、


「(んぐっ、ぐっ、ぐっ、ぐっー!)」


彼女が握りしめた右手から溢れていった。


「(ひゃーっ!)」


マダム・トンミーは、思わず、右手をビエール・トンミー氏のズボンから引き抜いた。それは、もはや『凶器』を超えた、何か『未知の生物』のように思えたのだ。


「(ツ、ツ、『ツチノコ』???!!!)」




と思った瞬間、マダム・トンミーの視界が、遮られた。




(続く)




2021年1月6日水曜日

バスローブの男[その65]

 


「(私、ピストルなんか、怖くないわ!)」


『マダム・トンミーとなる前のマダム・トンミー』は、右手で、ビエール・トンミー氏がズボンの中に隠し持つ『凶器』を触りながら、あらためて戦う意志を強くした。


「(でも、本物のピストルって、どんなのかしら?)」


『逆さクラゲ』の部屋の円形ベッドの上で、ビエール・トンミー氏と、『ナメクジ』プロレス』をしながら、彼女が下半身に感じ取っていたビエール・トンミー氏の『凶器』、そう、噂の『原宿の凶器』を、マダム・トンミーは、まだ実物は見たことのないが、ピストルだと信じていたのだ。


「(ええい!取っちゃえ!)」


マダム・トンミーは、思い切って、相手レスラーの、そうだ、ビエール・トンミー氏のズボンの中に右手を差し込んだ。


「えっ!」


ビエール・トンミー氏は、思わず、『ナメクジ』プロレス』をしていた舌をマダム・トンミーの口から抜き、叫び声を上げた。そして、


「んぐっ!」


という声とも音ともつかぬものを発した。


「(ええ、これって?....ロケット?)」



マダム・トンミーは、右手が触れているものを、まだ触ったことはないがピストルではなく、その太さ、形状から『ロケット』かと思い、更に、右手で形状を確認しようとした。




(続く)




2021年1月5日火曜日

バスローブの男[その64]

 


「(何かしら?)」


『マダム・トンミーとなる前のマダム・トンミー』は、『原宿の凶器』の正体を知りたくなった。


「(……んん?)」


マダム・トンミーは、右手を伸ばした。『逆さクラゲ』の部屋の円形ベッドの上で、ビエール・トンミー氏と、舌と舌とで、ある時は『ナメクジ』のように粘液で絡み合い、ある時は『ヒル』のようにキューっと強く吸い合い、という『プロレス』をしながらであった。


「(これ?....)」


マダム・トンミーの右手は、ビエール・トンミー氏の下半身に伸びていた。そこに『原宿の凶器』があるはずなのだ。


「(ピストル?)」


ビエール・トンミー氏のズボンの上から、そこにあるものを、マダム・トンミーの右手は、『ピストル』だと思った。それまで、ピストルを触ったことはなかったが。


「(硬い!)」


大きめな『ピストル』だと感じた。でも、


「(熱い!)」


ピストルは、冷たいものと思っていたが、それは、既に硝煙反応を起こしている『ピストル』のように思えた。




「(プロレスに、『ピストル』を持ち込むなんて!)」


さすがにやり過ぎだと思ったが、


「でも、あの時、アリのセコンドには、ピストルを持った者もいたみたいだし…」


『あの時』とは、1976年6月26日のことだ。そうだ、伝説の『アントニオ猪木 vs モハメッド・アリ』戦である。あの異種格闘技戦で、アリのセコンドには、正確には『ピストル』ではなく、ペンのような形をした弾丸が出るものを持っていた者もいたらしいのだ。




(続く)




2021年1月4日月曜日

【新春緊急公開質問状への回答】エヴァンジェリスト氏に起きたこと。[後編]

 


【新春緊急公開質問状への回答】エヴァンジェリスト氏に起きたこと。[中編]の続き)



「あああ、面倒臭いなあ。エヴァの奴が顔面を怪我したのは、自転車で転倒したからだ。『スーパー・マン』として….ああ、いいか、『スーパーマン』ではないぞ。スーパーのカートやカゴの整理をする男『スーパー・マン』としての任務を終え、自転車で帰宅途中、2020年12月24日の14:30頃、自宅近くのコンビニの横で転倒したんだ。で、見事、顔面を自転車のハンドルか地面か知らんが、ぶつけ、負傷した、ただそれだけのことだ」


2021年1月1日朝(そう、元旦だ)、左手で股間に当て、右手でiPhone X を持ったまま、ビエール・トンミー氏は、友人のエヴァンジェリスト氏の怪我について、一気にまくし立てた。。


「え?どうして転倒したのか、だって?ああ、アイツは、『プロの旅人』で今連載中の『バスローブの男』を読んでいるから、自転車に乗りながら、ワシとワシの家内との『ナメクジ』プロレスでも想像して、股間に『異変』が生じ、その瞬間、バランスを崩しでもしたんだろうよ」


と、『ナメクジ』プロレスのことに触れただけで、自らの股間にも少しく『異変』が生じ、左手で『位置』を直した。


「もういいだろう、エヴァのことなんか。ワシはもう一眠りする。…は?写真に?」


ビエール・トンミー氏は、もう一度、iPhone X の画面に眼を遣った。



「ああ、アイツが転倒した時の写真だな。これがどうした?ワシの云う通りじゃないか。ほーら、やっぱり『ナメクジ』プロレスを想像しているだろ」


と、iPhone X をベッド・サイドに置こうとしたが…


「ええ!?黒タイツ?黒タイツの男?上半身裸?」


エヴァンジェリスト氏が転倒した時の写真の端に、黒タイツで上半身裸の男(?)の体半分が映り込んでいる。




「ああ…何かいるなあ。…え?ええ?ワシ?...知らん、知らん!ワシは、あそこにいた訳じゃないからな」


動揺している。


「あそこ?...ああ、エヴァが転倒した所だろうが。え?そこに居合わせたような云い方だって?穿ち過ぎだ。ええ、ええ?倒れた時の状況、原因に詳しすぎる?そりゃ、エヴァとは友だちだからな。もういいだろう。もう一眠りするから放っておいてくれ」


と、今度こそ、iPhone X をベッド・サイドに置こうとしたが…


「な、な、なんだ!?似てる?ええ?!黒タイツの男の脚の彎曲具合の貧相さが、ワシの脚に似てる?し、し、失礼だな!」


と云いながら、iPhone X の画面に表示されたままとなっているエヴァンジェリスト氏が転倒した時の写真の端に遣る眼は、動揺を隠せない。


「わ、わ、わ、わ…ワシではない!ああ、もういい!これ以上は、事務所を通してくれ!」


と叫ぶと、ビエール・トンミー氏は、布団の中に頭から潜り込んだが、


「うぶっ!」


そこに充満した自らの『臭い』に、噎せた。



(おしまい)




2021年1月3日日曜日

【新春緊急公開質問状への回答】エヴァンジェリスト氏に起きたこと。[中編]

 


【新春緊急公開質問状への回答】エヴァンジェリスト氏に起きたこと。[前編]の続き)



「んん?HKマンに興味はない?」


2021年1月1日朝(そう、元旦だ)、右手で股間を掻きながら、ベッドで上半身を起こしたビエール・トンミー氏は、誰も相手がいないのに、何やらブツブツ云いながら、蒸れた股間を掻いたその右手を鼻に持っていった。


「うぶっ!」


噎せた。人間は、臭いものを嗅ぎたがるものだ。




「HKマンより、エヴァの奴に興味があるなんて、理解できんのお」


と云いながら、今度は左手で股間を掻きながら、右手でiPhone X を操作し始めた。


「『エヴァンジェリスト氏に何が起きたのか?』だって?」


iPhone X の画面には、額と眉間に傷を負ったエヴァンジェリスト氏の写真が映っていた。




「ふん!自分で自分の怪我した顔を写真に撮るとは、顕示欲の強いアイツらしい」


怪我をした友人を気遣う様子は微塵もない。


『旗本退屈男』?ふん、馬鹿らしい。今時、『旗本退屈男』なんて誰も知らんだろう」


『旗本退屈男』を演じる為に、眉間に傷をつけようとしたが、少々誤って眉間から外れた箇所に傷をつけてしまった、という説があるようだ。


『コンパニオン宴会』?確かにアイツは、オゲレツな助平野郎だが、意外に度胸がないから、コンパニオンに迫るなんてできゃあしない」


ビエール・トンミー氏の極秘指令で政治家とのコンパニオン宴会に参加したものの、コンパニオンに迫ろうとして顔面をぶつけ、傷を負ってしまった、という説もあるようだ。


『大喜利』で座布団10枚!?んな訳あるはずないじゃないか!アイツは、ギャグというか戯けたことばかり云っているが、一つとして面白いものはない!」


ビエール・トンミー氏のコーディネイトで、抜群のギャグセンスを披露すべく大喜利に特別参加し、見事、座布団を10枚獲得したものの、バランスを崩して落下し、顔面を傷つけた、という説まであるようだ。


「プロレスで『凶器攻撃』?あのなあ、アイツは、アマチュア・プロレスラーと自称しているが、『アマチュアだけどプロのレスラー』、そんなの『自家発電』、あ、いや、自家撞着だろう」


得意のプロレスに参戦し、悪役レスラーの凶器攻撃を額に受け、出血してしまった、という説は、一笑にふし、再び、左手で股間を掻き、その手を鼻に持っていった。


「うぶっ!」



(続く)



2021年1月2日土曜日

【新春緊急公開質問状への回答】エヴァンジェリスト氏に起きたこと。[前編]

 


【新春緊急公開質問状】エヴァンジェリスト氏に何が起きたのか?の続き)



「なんだ、なんだ、なんだ!新年早々、五月蝿いなあ」


2021年1月1日朝(そう、元旦だ)、ビエール・トンミー氏が、右手で股間を掻きながら、ベッドで上半身を起こした。


「ワシは、年末、HKマンとして忙しかったのだ」


ビエール・トンミー氏は、毎年12月20日から30日まで、自宅の年末大掃除の任に就く。その自分を『HouseKeeping Man』(通称:HKマン)と呼んでいるのだ。




「担当領域は風呂場、洗面所、リビング、ダイニング、寝室、玄関、外回り、そして、窓だ。つまり、台所以外の家全体だ」


台所は、マダム・トンミーの担当のようだ。


「一番の力の入れどころは風呂場だ、床から壁から浴槽から窓までピカピカにしたぞ」


訊かれてもいないことを勝手に喋っている。


「ああん?報酬?家内からご褒美の接吻?報酬という概念はないんだ。天から与えられた尊い義務だ(..ご褒美返しをする体力がない…)。もう30年近くしておる。1991年からだからもうすぐ30年なんだ。初日の納戸の整理と本棚の整理から始め、30日で任務は終了した。大晦日を朝からのーんびり過ごす為で、予定通り、大晦日は、サザンオールスターズの年越しライブを見て過ごしたぞ(..昔は、年越し●●をしたもんだったが…)。ハハハッハッ



(続く)





2021年1月1日金曜日

【新春緊急公開質問状】エヴァンジェリスト氏に何が起きたのか?



ビエール・トンミー氏よ、緊急公開質問状である。


君の唯一の友人にして、君が代表を務める『オフィス・トンミー』のタレントであるエヴァンジェリスト氏に、何が起きたのだ?


ここしばらく『プロの旅人』にエヴァンジェリスト氏が登場してこないのでどうしたのかと思っていたら、次のような衝撃写真を入手した。






エヴァンジェリスト氏に何が起きたのだ?




君の指示により、『旗本退屈男』を演じる為に、眉間に傷をつけようとしたが、少々誤って眉間から外れた箇所に傷をつけてしまったのか?




或いは、君からの極秘指令で政治家とのコンパニオン宴会に参加したものの、コンパニオンに迫ろうとして顔面をぶつけ、傷を負ってしまったのか?





はたまた君のコーディネイトで、抜群のギャグセンスを披露すべく大喜利に特別参加し、見事、座布団を10枚獲得したものの、バランスを崩して落下し、顔面を傷つけたのか?





それとも得意のプロレスに参戦し、悪役レスラー(その正体は、君だろう)の凶器(フォーク)攻撃を額に受け、出血してしまったのか?





さあ、ビエール・トンミー氏よ、答えよ!さもなくば、君と君の奥様との『ナメクジ』プロレスが、『プロの旅人』で世界公開されていることを、君の奥様に知らせるぞ。




(おしまい)