2022年6月21日火曜日

【緊急衝撃特報】ナンパ老人、危機一髪![その9]

 


「茶化さないでください。あの方は、私のことなんか…」


ビエール・トンミー氏を取材対象とする特派員からのiMessageは、彼が顔面の皮下まで紅に染めた像まで、エヴァンジェリスト氏に想起させるものであった。


「んっ?君は、やはり...いや、まあ、それはそれで構わんがな」

「いえ、あ、いえいえ、要するにですねえ、あの方は、女性に『ナンパ』されたのですう」

「まさかやあ!?」

「なんですか、その言葉は?」

「まあ、君が『ちむどんどん』するくらいの美男だから、女性がアイツに惚れるのも無理はないとは思うが」

「ああ、今やっているNHKの朝ドラですね。沖縄出身の料理人の娘を主人公とした話だそうですが、昔からヴェネティアにある『イカスミパスタ』をその主人公が開発したことにしたとか、めちゃくちゃなストーリーで、散々な評価だそうじゃないですか、そんなドラマをパクるのかどうかと思いますねえ」




「まあ、ビエールの奴、どうせその辺の婆さんか、おばちゃんに声でも掛けられのであろうかねえ」

「いえ、若い女性です。見たところ、20歳台後半の美女でした」

「あきさみよー!」

「ですから、下手な沖縄弁は、気持ち悪いので止めて下さい」

「で、アイツ、若い女性にどう『ナンパ』されたであるねえ?『Windows の Oulookが起動中のままで開けないんですう。どうしたらいいのですか?』とでもアプローチされたのか?」

「はあ?なんですか、それ?」

「君は、どうしたらいいか分るか?」

「知りません、そんなこと」

「どうして、そんな状態になっているか、というとだな。多分、Outlookのデータが壊れているんだ。だから、プログラム自体は起動はするが、データを読み込めないので、開ききれず、起動中のままとなるんだ」

「ああ、そうですか。でも、そんなことどうでもいいんです」

「この問題を解決するにはだな、『SCANPST.EXE』という受信トレイ修復ツールを実行すればいいんだ。『PST』は、『.pst』がOutlookの個人用フォルダーファイルのことだから、それをスキャンするプログラムなんだろうな。で、そのSCANPST.EXE』はどこにあるかというと、Cドライブ直下の『Program Files』というフォルダーの中にあるんだ」

「いいですかあ!あの方は、若い女性から、『Windows の Oulookが起動中のままで開けないんですう。どうしたらいいのですか?』とアプローチなんかされていませんよ!」



(続く)




2022年6月20日月曜日

【緊急衝撃特報】ナンパ老人、危機一髪![その8]

 


「そうなんですう!モテモテだったんですよ、今も」


エヴァンジェリスト氏に送ってきたビエール・トンミー氏を取材対象とする特派員からのiMessageには、興奮が漲っていた。


「おいおい、『今も』と云いながら、『だった』とは、妙ではないか。時制は『現在』であるようでいて、実際には『過去形』になってるぞ」

「『今も』と申しますのは、あの方の中学時代と比較しての『現在』であって、今日、この時点のことを申しているのではありません。『現在』と申しましても時間の幅があるのです」

「ちょっと理屈っぽ過ぎるぞ」

「貴方に云われたくはありませんね。いいですか、あの方は、『ナンパ』されたのですう!」

「ああ、だからさっきから云ってるじゃないか。ビエールの奴は、ベンツの船『Arrow460-Granturismo』で『ナンパ』したんだろうに」

「いえ、あの方は、『ナンパ』されたのですう!この場合の『された』は、敬語の『された』ではなく、受動態の『された』なんです!」

「おいおい、戯言もいい加減にしろよ。いい加減は、風呂だけでいいんだ」




「戯言ではありません。あの方は、『ナンパ』されたのですう」

「いいか、『ナンパ』された、受動態としての『ナンパ』された、というのはだな、誰か女に『ナンパ』、つまり、誘われたり、口説かれたりした、ということなんだぞ。まあ、今時だから、女とは限らず、誰か男に『ナンパ』されることもあるだろうがな」

「あの方は、どうしようもない助平ですが、男性には興味はないようです、確かに、あの方は、男の私から見ても惚れ惚れとするお姿でいらっしゃいますので、男性から『ナンパ』されても不思議ではありませんが」

「おおっ?!『ミイラとりがミイラ』か?」



(続く)




2022年6月19日日曜日

【緊急衝撃特報】ナンパ老人、危機一髪![その7]

 


「じゃあ、ビエールの奴が、『ナンパ』されたとでも云うのか?」


エヴァンジェリスト氏は、ビエール・トンミー氏を取材対象とする特派員との埒が明かぬiMessageのやり取りに疲れ、ベッドで起こしていた自らの半身を再び、横たえ、半分、目を閉じながら、特派員にiMessageを送った。


「はい」


特派員は、端的過ぎるくらい端的にそう答えた。


「はあ~ん?」


体をベッドに横たえたまま、エヴァンジェリスト氏は、枕を下に、だらしなく口を開けたその様子そのもののiMessageを送信した。


「ご理解されていないようですね。あの方は、『ナンパ』されたのですよ」

「ふん!『くだらん冗談はヨシコちゃん』だ」

「おお、昭和のオヤジギャクですね」

「どうだ。『♪おそれ入谷の鬼子母神♪』だろお」

「はあ~ん?何をいきなり歌いだすんですか?」

「ほ、この歌を知らんのか?」

「知りませんし、知りたいとも思いません」

「『舟木一夫』だ」

「ああ、『高校一年生』ですね」

「巫山戯るな。『高校三年生』だろうに。その『舟木一夫』の歌だ」

「ですから、そんな歌のこと、知りませんし、知りたいとも思いません、って」

「その『舟木一夫』が.......おお、そうだ、今、『プロの旅人』で連載している『【牛田デラシネ中学生】変態の作られ方』で、ビエール・トンミーの奴が、広島の牛田中学に入学した頃のことを書いておるみたいじゃが、丁度その頃、そう、1967年の4月20日に封切られた『一心太助 江戸っ子祭り』という映画の主題歌だ。『舟木一夫』が映画の主役を演じ、主題歌も歌ったんだ」

「ですからあ、『舟木一夫』も『一心太助』も興味ありません、と申し上げてるでしょ!」

「『一心太助』はな、威勢のいい江戸っ子の魚屋でな。徳川将軍家に仕える旗本で、『天下のご意見番』ともいわれた『大久保彦左衛門』と親しくなって…….」




「あああ、いいですかあ!あの方の中学一年の頃の映画のことなんか、どうでもいいんですう!あの『牛田デラシネなんとか』だって、Blogだか妄想だか知りませんが、何だか矢鱈長くて、博識ぶったことばかりの話が何ヶ月も続いていた、と思ったら、今度はいきなり、あの方が優秀でモテモテという訳のわからない展開になって…..あ!そう、そう、そうなんですよ!」



(続く)



2022年6月18日土曜日

【緊急衝撃特報】ナンパ老人、危機一髪![その6]

 


クルマの運転免許でなければ、何の運転免許を取られたのですか、あの方は?」


ビエール・トンミー氏を取材対象とする特派員は、ビエール・トンミー氏が石原プロ入りを噂された頃に『免許』をとったんだな、というエヴァンジェリスト氏に、口をひょっとこのように尖らせ、頭部全体をひねりながら、iMessageでそう質問した。


「何を寝ぼけている。決っているだろ、小型船舶の免許だ。石原プロの若手俳優は皆、小型船舶の免許を持っていたからな。石原プロは、西部警察とかアクションものが多くなっていたから、小林さんが、若手俳優に小型船舶の免許を取るよう、指示でもしたんだろうなあ」

「小林さん?」

「ああ、石原裕次郎のマネージャーで、石原プロの専務だった、『コマサ』こと、小林正彦さんのことだ。小型船舶だけではなく、クルマの大型免許も必要だったと思うぞ」

「大型免許って、云いますと?」

「バスやトラック、ダンプカーにタンクローリーなんかの免許だな」




「何故、小型船舶とか大型自動車とかの免許まで取る必要があったんですか?」

「まあ、アクション系のドラマを売りにしていたからだろうなあ」

「あ!貴方が、石原プロ入りを固辞したのは、小型船舶や大型自動車の免許を取らないといけなかったからではありませんか?貴方は、小型船舶、大型自動車はおろか、普通のクルマの運転免許すらお持ちではない。貴方は、日頃、自分の体の幅以上あるものを操る自信がない、と仰ってきていらしゃいますものね」

「ノーコメントだ。それ以上、訊くなら事務所を通してくれ。ただ、ワシは分ったぞ。ビエールの奴は、石原プロ入りの可能性があった、あの頃に小型船舶の免許を取っていたんだな。それで、その後に、ベンツの船『Arrow460-Granturismo買ったんだな」

「ほほー、そうだったんですね」

「何を他人事のように感心しているんだ。要するに、ビエールの奴、やはり船で『難破』ならぬ『ナンパ』したのか?」

「いえ、私はそれは知りません。それは、貴方が仰っているのではありませんか」

「いや、君が云ったんだろうに、ビエールの奴が「ナンパ』した、と」

「いえいえ、私は、あの方が『ナンパ』、という主旨のことは申し上げましたが、あの方が『ナンパ』した、とは申し上げておりません」



(続く)




2022年6月17日金曜日

【緊急衝撃特報】ナンパ老人、危機一髪![その5]

 


おお、やはりそうであったか!」


と、独り合点したエヴァンジェリスト氏は、ビエール・トンミー氏が、自らのオゲレツ欲を満たす為に(女性を連れ込む為に)、ベンツの船に19億円も注ぎ込んだのか、というビエール・トンミー氏を取材対象とする特派員にiMessageを送った。


「ビエールの奴、一時は、ワシ同様、石原プロ入りの噂もあったくらいだから、船の一艘や二艘、買っていたとしても不思議ではない」

「え?貴方に石原プロ入りの噂があったことは存じ上げていますが、あの方にも、石原プロ入りの噂があったのですか?」

「君は、アイツの特派員のくせに、そんなことも知らんのか」

「申し訳ありません。何しろ、最近、特派員になったものですから。しかし、今はもう、石原プロはありませんでしょ?」

「アイツはな、広島県立広島皆実高校の1年7ホームの時から、ワシに次ぐ美貌と頭脳とダンディさの持ち主として名を馳せていたのだ」

「なんですか、その『1年7ホーム』の『ホーム』って?」

「ああ、広島皆実高校ではな、今もそうかもしれんが、『クラス』のことを『ホーム』と呼んでいたのだ。その『1年7ホーム』でアイツとワシは一緒だったのだ。ワシらは、そこからの付き合いだ」

「その後、貴方は、『OK牧場大学』に入られ、『OKボーイ』となった。そして、石原プロが、石原裕次郎亡き後、渡哲也も病に苦しむようになり、経営が危ぶまれる段になって、石原プロの救世主と期待されたのですね?」

「まあ、世間はそう見ているようだな」

「しかし、貴方は、なかなか石原プロに入ろうとはしなかっと、と聞いています。それは、まき子夫人が、貴方の電話番号を知らず、貴方に電話をして石原プロ入りを頼んでこなかったから、とも聞いていますが、本当のところはどうなんですか?」

「ああ、そこんとこはノーコメントだ。それ以上、訊くなら事務所を通してくれ」

「おお、それですね!お得意のセリフだ。噂に聞いていました」

「まあ、なんにせよ、巷では、ワシがなかなか石原プロ入りしないから、ワシに次ぐスター候補生であったビエールに、石原プロ入りを期待するようになった、と噂したようだ。あくまで噂だがな」

「そうだったんですね!」

「確かに、あの頃のアイツの風貌は、石原プロの俳優らしさが漂っておったからな。ああ、そうかあ。あの頃にアイツ、免許を取ったんだな」




「え?免許?あの方が、運転免許を取られたのは、資料によると、『ハンカチ大学』在学中の23歳の頃でしたね?」

「それは、クルマの運転免許だろ」



(続く)




2022年6月16日木曜日

【緊急衝撃特報】ナンパ老人、危機一髪![その4]

 


「19億円くらいだったと思う」


『19億円』という金額を、エヴァンジェリスト氏は、ベンツの船『Arrow460-Granturismo』の値段を訊いてきたあの特派員に、こともなげにiMessageで伝えた。


「へっ、へっ、へえええ~!貴方、そんな金額をよくも平気で口にできますねえ!」

「いや、iMessageだから、口にはしておらんぞ」

「相変らずの減らず口だ」

「だからあ、口は使ってはおらん。使っているのは、指だ」

口を使うとか、指を使うとか、貴方、本当にオゲレツでいらっしゃる」

「君は一体、何を想像しているんだ?」

「それにしてもベンツが、船の製造までしていたとは、知りませんでした」

「ベンツは、ホテルだってプロデュースしているんだ」

「え?ホテルも?」

「まあ、ホテルというか、長期滞在者用のラグジュアリー・レジデンスらしいんだが、高級アパートメントサービスの不動産会社「フレイザー・ホスピタリティ・グループ」と提携して、そのデザインをベンツがしたらしい。『Mercedes-Benz Living @Fraser residence』といったかなあ、ロンドンとシンガポールにあるらしいぞ」

「おお、ホテルとは、ますますイヤラシイ!」

「だから、何を想像しとるんだ、君は?まあ、ベンツは、他にもエアバスのヘリコプターをカスタムメイドしたとも聞いたぞ」




「おお、なんという高価なオゲレツ!あの方は、ベンツの船でクルージングして、港から、その『ベンツなんとかレジデンス』とやらまでベンツのヘリコプターで若い女を連れ込んだのですな?」

「え?ビエールの奴、そうなのか?」

「何をお惚けを。ベンツのヘリコプターもホテルも高価だとは思いますが、ベンツの船に19億円も注ぎ込まれたのですね、自らのオゲレツ欲を満たす為に!」



(続く)




2022年6月15日水曜日

【緊急衝撃特報】ナンパ老人、危機一髪![その3]

 


「なんだとお!ワシのことを馬鹿とは無礼ではないか!」


エヴァンジェリスト氏は、自分に対して、貴方、馬鹿ですか?』とiMessageを送ってきたあの特派員に、怒りのiMessageを返した。


「ワシは、オゲレツではあるが、馬鹿ではない!」

「いや、貴方は、オゲレツな馬鹿でしょう。あの方が、『難破」するなんて、戯言以外の何物でもありません。いいですか、『難破』って、船が壊れたり、転覆したりすることなんですよ」

「そんなの『あたり前田のクラッカー』、常識以前の問題だ」

「『てなもんや三度笠』とは、古い。貴方、やっぱり棺桶に片足を突っ込んだご老人ですな。いいですか、あの方は、ベンツにはお乗りですが、ベンツはクルマ、自動車ですよ。船ではありません」

「ふんっ!」

「鼻水を飛ばしてこないで頂きたい」

「iMessageでは、鼻水も送れるようになったのか?」

「ああ、いつも常識に囚われることを批判する貴方が、常識にとらわれておいでとは!あのですねえ、テクノロジーは日々、進化しているのです。いつの日か、iMessageで鼻水を送れる時だってくるかもしれません」

「そういう君自身が常識の囚われ人だ。ベンツは確かに、クルマだ。しかし、ベンツの船もあるのだ」

「ええーっ!????」

「『Arrow460-Granturismo』だ」

「へ?」

「臭い!屁をするな!いいか、『Arrow460-Granturismo』を横から見た姿は、まるでベンツが海に浮かんでいるかのようなんだぞ。ネットで検索して画像を確認するんだな」




「….ううーっ!ベンツが船の製造まで手がけていたとは!で、あの方は、その『アローなんとか』というベンツの船をお持ちなんですね?」

「はああ?ビエールの奴、やっぱり『Arrow460-Granturismo』を買っていたのか!」

「いえ、それは、私がお訊きしているのです。『アローなんとか』って、おいくらなんですか?」



(続く)