2018年3月4日日曜日

【曲がったことが嫌いな男】石原プロに入らない?入れない?[その23]



「エヴァさん、曲がれるよね?」

列のすぐ前にいた女性が振り向いて云ったその言葉を聞いた時、エヴァンジェリスト氏は、『森英恵』先生の会社に入社したものの、半年で辞めてしまったが、決して『曲がった』ことをした訳ではない、と思った。

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ビエール・トンミー氏は、1979年、友人であるエヴァンジェリスト氏の上井草の下宿に来た際に、駐車違反になってしまった。

「ああ、君は、犯罪者になったんだ」

と云うエヴァンジェリスト氏の言葉にビエール・トンミー氏は強く動揺した。

駐車違反は、実は、ビエール・トンミー氏にとって『初犯』ではなく、その前に、もう一つ、別の『犯罪』を犯していたのである。だから、ビエール・トンミー氏は動揺したのだ。

ビエール・トンミー氏がエヴァンジェリスト氏の上井草の下宿まで乗って来た『ビートル』は買ったばかりで、その日が初めての運転であったが、それはまた、ビエール・トンミー氏にとって、免許を取って初めての運転でもあった。

駐車違反を犯す何時間か前、即ち、上井草に行く前に環状7号線を走っていた時(環状7号線を走るのも、勿論、初めてであった)、突然後ろからサイレンの轟音が鳴った………






ビエール・トンミー氏は、バックミラーを見た。

赤いランプを両脇に点滅させた白いオートバイが迫って来ていた。運転者は、ブルーのボディー・スーツを着用し、白いヘルメットを被っている。

バックミラーで確認するまでもなかったが、白バイであった。




白バイは、あっという間にビエール・トンミー氏の『ビートル』に追い付き、左側を並走すると、手で止まるよう指示を出した。

「しまった」

と思った。

「スピード違反か……」

そう、免許を取って運転したその日にビエール・トンミー氏は、スピード違反で警察に『捕まった』のだ。

「どうするのだ…….ああ、どうなるのだ…….?」



(続く)



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