2018年3月10日土曜日

【曲がったことが嫌いな男】石原プロに入らない?入れない?[その29]



「エヴァさん、曲がれるよね?」

列のすぐ前にいた女性が振り向いて云ったその言葉を聞いた時、エヴァンジェリスト氏は、『曲がったことが嫌いな男』である自分は、『プロレスなんて八百長じゃないか」と周りから批判されようと、ずっとプロレス・ファンできた、と思った。

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1979年、免許を取ったその日に、ビエール・トンミー氏は、フォルクスワーゲンの『ビートル』で、友人であるエヴァンジェリスト氏の上井草の下宿に向う途中、環状7号線で白バイにスピード違反で『捕まり』(辛うじて見逃してもらったが)、エヴァンジェリスト氏の下宿の前にその『ビートル』を止めていたことで駐車違反となってしまった。

そして、エヴァンジェリスト氏の心無い言葉に打ちのめされてしまった。

「ああ、君は、犯罪者になったんだ」
「君は、これで前科者になったんだなあ」
小菅にだって面会に行くさ」

こうして、ビエール・トンミー氏は、『曲がったことが嫌いな男』から『変態』への道へと大きく『曲がった』人生を歩むことになった。

そして、『前科者』となったことに打ちひしがれ去る友人の乗る『ビートル』を見送りながら、エヴァンジェリスト氏は呟いた。。

「アイツも『曲がったことが嫌いな男』だと思っていたのに、『汲み取り式便所』の臭気に鼻を『曲げ』、それに、駐車違反なんて『曲がった』もするなんて」

その後に、『曲がったことが嫌い』な故に、今度は自分が、窮地に陥ることになるとは知らずに。






1980年、エヴァンジェリスト氏は、上池袋にいた。

エヴァンジェリスト氏は、友人のビエール・トンミー氏が自身の人生を大きく変えることになった上井草の下宿から上池袋へと下宿を変えていた。

上井草の下宿の大家であるおばあさんが、家を建て替えることになり、エヴァンジェリスト氏が住んでいた離れも取り壊すことになったからである。

大学院生(修士課程)であったエヴァンジェリスト氏は、学費以外の生活費は、奨学金でまかなっており、下宿の変更も自費でまなかうこととした。

「親に面倒をかける訳にはいかない」

エヴァンジェリスト氏は、眉間に皺を寄せた。

「アイツとは違うのだ。クルマを親に買ってもらった上に、そのクルマで『駐車違反』をするような男とは。『曲がったことが嫌い』なのだ、ボクは」

しかし、生活費はギリギリであり、下宿探しは困難を極めた。

引っ越し費用(運送費)、下宿の敷金、礼金、1ヶ月分の家賃、不動産屋の手数料を含め、5万円内となる物件(下宿)を探すしかなかった。

これは即ち、月1万円以内の物件を探すということであり、当時(1980年)でも至難の技であった。





(続く)



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