(住込み浪人[その11]の続き)
「綺麗だった…..ああ、あれが女子大生というものか….」
OK牧場大学の学生食堂のある棟に向いながら、『住込み浪人』で、まだ女子大生なる存在と交わることのないビエール・トンミー青年は、呟いた。
「い、いや、違う!あの女子大生のせいではないんだ……」
と、誰にも聞こえぬよう云いながら、その女子大生に指摘された体のある部分を抑えた。
「す、きーなあ、ヒトにぃ…」
頭の中に、ある女性アイドル歌手の唄声が響いた。
「ああ、『星に願い』は叶うのか…..今度こそ」
今度こそ、ハンカチ大学に合格したく、それが叶うなら、星にでも、石にでも願いをかけたかったのだ。
だが…..
「う、うーっ!」
『住込み浪人』ビエール・トンミー青年の眼には、OK牧場大学の校庭は映らず、女性アイドル歌手のミニ・スカートから出たムチッとした太腿が、VRを見るように映っていたのだ。
「受験だ。試験があるのだ。今度こそ、受からないといけないんだ!」
しかし、女性アイドル歌手が、唄いながら、腰を振る度に、眼の前でミニ・スカートがひらめく。
「う、うーっ!」
呻きながら、『住込み浪人』ビエール・トンミー青年は、異様な程に両脚を内股にして、学生食堂のある棟に駆け込んで行った。
(続く)
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