(住込み浪人[その38]の続き)
「(んぐっ!んぐっ!....『サトミツ』)」
OK牧場大学の学生食堂でカレー・ライスをひと匙分だけ残し、スプーンを宙に持ったままとなっていた『住込み浪人』ビエール・トンミー青年は、スプーンを持っていない方の手を足の付け根に置いていた。何か抑え切れないものをなんとか抑えようとするかのように。
「(んぐっ!んぐっ!....『佐藤ミツ』……なんと甘い名前だ!)」
『住込み浪人』ビエール・トンミー青年も、『テイトー王』を見ていたのだ。それも、カメムシの解説をしていた男子学生と同じで、『サトミツ』目当てであったのだ。
「(ボクも、『サトミツ』見ながら……)」
「『サトミツ』がいるんだったら、官立だけど『テイトー』に行っててもよかったかもな」
カメムシの解説をしていた男子学生は、余程、『サトミツ』を気に入っているようだ。
「お前、『テイトー』受けなかったの?」
「受けたさ」
「で、合格したのか?」
「いや、『カンリツ』だから合格しないようにしたさ」
「バーカ、落ちたんじゃないか」
「てへへ」
「まあ、オレもだけどな、ハハハハハハ」
と、二人の男子学生は、声を揃えて笑った。
「(んん?.....なんだとお…….)」
(続く)
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