2019年3月28日木曜日

住込み浪人[その39]







「(んぐっ!んぐっ!....『サトミツ』)」

OK牧場大学の学生食堂でカレー・ライスをひと匙分だけ残し、スプーンを宙に持ったままとなっていた『住込み浪人』ビエール・トンミー青年は、スプーンを持っていない方の手を足の付け根に置いていた。何か抑え切れないものをなんとか抑えようとするかのように。

「(んぐっ!んぐっ!....『佐藤ミツ』……なんと甘い名前だ!)」

『住込み浪人』ビエール・トンミー青年も、『テイトー王』を見ていたのだ。それも、カメムシの解説をしていた男子学生と同じで、『サトミツ』目当てであったのだ。

「(ボクも、『サトミツ』見ながら……)」
「『サトミツ』がいるんだったら、官立だけど『テイトー』に行っててもよかったかもな」

カメムシの解説をしていた男子学生は、余程、『サトミツ』を気に入っているようだ。

「お前、『テイトー』受けなかったの?」
「受けたさ」
「で、合格したのか?」
「いや、『カンリツ』だから合格しないようにしたさ」
「バーカ、落ちたんじゃないか」
「てへへ」
「まあ、オレもだけどな、ハハハハハハ」

と、二人の男子学生は、声を揃えて笑った。



「(んん?.....なんだとお…….)」



(続く)

0 件のコメント:

コメントを投稿