(住込み浪人[その34]の続き)
「『テイトー』の奴らには、さあ」
OK牧場大学の学生食堂でカレー・ライスを『こさげ』ながら、『住込み浪人』ビエール・トンミー青年は、近くの席の二人の男子学生の会話に、耳だけを集中させた。舌は、カレーに、眼は、食堂内の女子学生たちに向けられていた。
「(ああ、『テイトー』かあ….)」
「恥ってものがないんだよなあ」
「(だから、『カンリツ(官立)』ってことか)」
『テイトー』は、云うまでもなく、帝立大学東京の略称だ。私立ではなく、『官立』なのだ。
「そもそも、番組名からして恥ずかしいじゃないか、『テイトー王』だなんて」
「(ああ、『テイトー王』のことを話していたのか)」
『テイトー王』は、現役の『テイトー』学生が数人出演し、芸能人とクイズで対決する番組だ。『住込み浪人』ビエール・トンミー青年も、幾度か見たことはあった。
「そうだぜ。つばき(『椿』)に印象の『象』で、『カメムシ(椿象)なんて、読めたからなんだって云うんだ」
「(ほー、カメムシって、『椿象』と書くのか)」
(続く)
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