(住込み浪人[その26]の続き)
「(あっちでは、というか一般には、『ハンオー戦』なのに)」
OK牧場大学の学生食堂のポーク・カレーを頬張りながら、『住込み浪人』ビエール・トンミー青年は、2人の男子学生の会話を聞き続けた。
「俺は、テレビ観戦だな」
「まあ、何にせよ、3戦までもつれて欲しいよな」
2人が話しているのは、『ロック大学野球』のことであった。共に、私学の雄である『ハンカチ大学』と『OK牧場大学』の一戦は、一般には、『ハンオー戦』と云う。『ハンカチ大学』でも、『ハンオー戦』と云うが、『OK牧場大学』は、順番を変え、『オーハン戦』と云うのだ。
「(3戦までもつれろ、なんて、不謹慎な奴らだ)」
『住込み浪人』ビエール・トンミー青年は、前年は、『ハンカチ大学』で『住込み浪人』をしており、『ハンオー戦』に絡んだ両大学の『ルール』を知っていたのだ。
「(そんなに勉強したくないのか!)」
『ロック大学野球』は、土曜日と日曜日で、1校と2戦するが、1勝1敗だと、月曜日に第3戦を行うのだ。
そして、『ハンオー戦』では、第3戦を行うこととなった場合、その月曜日は、『ハンカチ大学』でも『OK牧場大学』でも休講となるのだ。
「(こっちは、土日もなく、勉強しているというのに!)」
と憤慨しつつも、『住込み浪人』ビエール・トンミー青年は、知っていた。自分も、『ハンカチ大学』に入ってしまえば、『3戦までもつれろ』と云うようになることを。
(続く)
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