(住込み浪人[その14]の続き)
「(ここの学食も、夜も営業すればいいのに)」
OK牧場大学の学生食堂で、トレイを持って、カレーのカウンターの列に並んでいる『住込み浪人』ビエール・トンミー青年は、そう思った。
16:30には、OK牧場大学の学食は、店じまいするのだ。
「(エヴァの奴によると、東京メトロポリタン大学の学食は、夜もやってるというのに)」
東京メトロポリタン大学のすぐ近くに下宿するエヴァンジェリスト青年は、夕飯を東京メトロポリタン大学の学食ですませることも多い、と聞いたのだ。
「(あそこの学生ではないのに)」
そうであった。『住込み浪人』ビエール・トンミー青年の友人であるエヴァンジェリスト氏は、東京メトロポリタン大学の学生ではなく、ここOK牧場大学の学生であった。
「(『メトロポリタン大学の学食は安くていいぜ』と云いやがった)」
古いお屋敷の家の8畳一間に下宿する貧乏学生のエヴァンジェリスト氏にとって、食費が抑えられることは有難かったのだ。
「(あんな貧乏人が、どうしてOK牧場大学になんか入ったのだ)」
どうして入ったのか、と云っても、それは受験して合格したからに過ぎなかったのだ。
「(本当は、お坊っちゃまのボクこそ、OK牧場大学の学生に相応しいのだ)」
とはいえ、『住込み浪人』ビエール・トンミー青年の志望校は、あくまでハンカチ大学であった。
「(メトロポリタン大学の学食だけならまだしも、エヴァの奴、『あんなもの』を夕食に摂るなんて…..)」
『住込み浪人』ビエール・トンミー青年は、頭を振った。
(続く)
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