(住込み浪人[その17]の続き)
「ボクは、『住込み浪人』だ、それも、二浪目だが、ただの『住込み浪人』ではないぞ!インテリ『住込み浪人』だ!」
『住込み浪人』ビエール・トンミー青年は、東京メトロポリタン大学のすぐ近くの友人であるエヴァンジェリスト氏の下宿で、そう友人に気色ばんだ。
….つもりであったが、
「君ねえ。この列は、カレーだよ」
背後から、若い男の声がした。
「は?」
「だからさあ、さっきから、『たい焼き』だの、『マイ』だの『ビ』だの、訳の分からないこと呟いてるけどさあ」
ようやく気付いた。『住込み浪人』ビエール・トンミー青年は、OK牧場大学の学生食堂で、トレイを持って、カレーのカウンターの列に並んでいたのだ。
「これだから、『住込み浪人』は嫌なのさ。学食には、『出禁』にすればいいのに」
背後の若い男、OK牧場大学の学生は、差別的な言葉を吐いた。
「う………」
『住込み浪人』ビエール・トンミー青年は、聞こえぬ程に小さい唸り声を上げた。
(続く)
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