2019年3月13日水曜日

住込み浪人[その24]







「じゃあ、最後はポークね」

OK牧場大学の学生食堂のカレー担当のオバチャンは、最後に、ポークの入った鍋からポークを掬い、カレー皿に盛った。



「ポーク、ちょっと、ううん、かなり多めにしておいたからね、うふん

と、オバチャンは、ポーク・カレーをトレイに乗せて、カウンターに差し出した。

「ど、どうも」

『住込み浪人』ビエール・トンミー青年は、一応、お礼らしき言葉を発して、トレイに両手を伸ばしたが……

「えっ!」

両手をオバチャンに握られたのだ。

「風邪気味なんだろ。今日のところは、カレーであったまるんだね。でも、どうしても寒くて仕方なかったら…..うふん

と、オバチャンは、半分に折られた一片の紙をトレイに置いた。

「?」

トレイに置かれた紙を見て、『住込み浪人』ビエール・トンミー青年が、首を傾げていると、

「おい、いい加減、退いてくれないか!」

また、列の後ろの男子学生に怒鳴られた。

「あ….」

と、トレイを持ち、カウンターを離れていく『住込み浪人』ビエール・トンミー青年の背後で、オバチャンが、男子学生を叱る声が聞こえた。

「あんたねえ、スミローちゃんには優しくするもんだよ。『住込み浪人』なんて屈辱なんだからさあ」


(続く)




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