(住込み浪人[その23]の続き)
「じゃあ、最後はポークね」
OK牧場大学の学生食堂のカレー担当のオバチャンは、最後に、ポークの入った鍋からポークを掬い、カレー皿に盛った。
「ポーク、ちょっと、ううん、かなり多めにしておいたからね、うふん」
と、オバチャンは、ポーク・カレーをトレイに乗せて、カウンターに差し出した。
「ど、どうも」
『住込み浪人』ビエール・トンミー青年は、一応、お礼らしき言葉を発して、トレイに両手を伸ばしたが……
「えっ!」
両手をオバチャンに握られたのだ。
「風邪気味なんだろ。今日のところは、カレーであったまるんだね。でも、どうしても寒くて仕方なかったら…..うふん」
と、オバチャンは、半分に折られた一片の紙をトレイに置いた。
「?」
トレイに置かれた紙を見て、『住込み浪人』ビエール・トンミー青年が、首を傾げていると、
「おい、いい加減、退いてくれないか!」
また、列の後ろの男子学生に怒鳴られた。
「あ….」
と、トレイを持ち、カウンターを離れていく『住込み浪人』ビエール・トンミー青年の背後で、オバチャンが、男子学生を叱る声が聞こえた。
「あんたねえ、スミローちゃんには優しくするもんだよ。『住込み浪人』なんて屈辱なんだからさあ」
(続く)
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