(住込み浪人[その18]の続き)
「(『出禁』だと!略語は、下品だ。ふん、何が、『OK牧場ボーイ』だ!)」
『住込み浪人』ビエール・トンミー青年は、OK牧場大学の学生食堂のカレーのカウンターの列で、すぐ後ろにいる男子学生に心の中で毒づいた。
「今度、『バキばら』観に行こう」
列のすぐ後ろの男子学生の連れの女子学生が(多分、『カノジョ』であろう)、甘え声で云うのが聞こえた。
「(ふん!これが、『OK牧場ガール』か!『バキばら』なんて、最初、脇腹のことかと思った)」
流行りの漫画だ。バッキンガム宮殿を舞台とした歴史漫画『バッキンガムのばら』は、『ダカラ塚歌舞伎』で舞台化もされ、大人気だ。
「(なんなら、ボクの脇腹を見せてやろうか?)」
と云いながら、『住込み浪人』ビエール・トンミー青年は、ジャージに見える実はパジャマの上から、自らの脇腹を掻いた。もう3日も風呂に入っていないので、少々痒いのだ。
その時…….
「スミローさん!」
誰かを呼ぶ声がした。
(続く)
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