(住込み浪人[その40]の続き)
「(要するにお前たちは……)」
OK牧場大学の学生食堂で、最後のひと匙分だけ残していたカレー・ライスをスプーンですくい、口に運びながら、『住込み浪人』ビエール・トンミー青年は、帝立大学東京(テイトー)とOK牧場大学とを比較する二人の男子学生に、云い放った。心の中で、ではあったが。
「(テイトーに受からなかっただけだろうが。馬鹿め!ふふふ)」
その言葉を聞くことができたら、二人の男子学生は、云ったであろう。
「『スミロー』のくせに!先ず、ウチ(OK牧場大学)でも、ハンカチ大でも自分が受かってからにしろよな」
しかし、二人の男子学生は、『住込み浪人』ビエール・トンミー青年の心の中の声を聞くことができなくて良かったのだ。
「(お前たち、ボクのことをただの『スミロー』だと思っているんだろう。バーカめ!)」
『住込み浪人』ビエール・トンミー青年は、最後のひと匙分のカレー・ライスを食べた後のスプーンを舐めた。
(続く)
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