2019年3月30日土曜日

住込み浪人[その41]







「(要するにお前たちは……)」

OK牧場大学の学生食堂で、最後のひと匙分だけ残していたカレー・ライスをスプーンですくい、口に運びながら、『住込み浪人』ビエール・トンミー青年は、帝立大学東京(テイトー)とOK牧場大学とを比較する二人の男子学生に、云い放った。心の中で、ではあったが。

「(テイトーに受からなかっただけだろうが。馬鹿め!ふふふ)」

その言葉を聞くことができたら、二人の男子学生は、云ったであろう。

「『スミロー』のくせに!先ず、ウチ(OK牧場大学)でも、ハンカチ大でも自分が受かってからにしろよな」

しかし、二人の男子学生は、『住込み浪人』ビエール・トンミー青年の心の中の声を聞くことができなくて良かったのだ。

「(お前たち、ボクのことをただの『スミロー』だと思っているんだろう。バーカめ!)」

『住込み浪人』ビエール・トンミー青年は、最後のひと匙分のカレー・ライスを食べた後のスプーンを舐めた。




(続く)


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