『少年』は、その年(1967年)に放送が開始されたオールナイトニッポンを聞く気はなくむしろ寝たかったものの、それを聞く兄たちと同室であった為に否応なく耳に入ってきたが、そんなことではハブテン少年ではあったのだ。
だって、ハブテルと、
「あんたあ、ハブテンさんな」
と母親に叱られるのだ。
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(ハブテン少年[その68]の続き)
「どしたん?」
それまで黙っていたエトワール君が、口を開き、自分の好きな女の子に訊いた。エトワール君の好きな女の子が、広島市翠町のエヴァンジェリスト少年の自宅の門の前まで、『クッキー』子さんと来ていたのだ。
「遊ぼうやあ」
エトワール君の好きな女の子が、『クッキー』子さんに接するのとは異なる、上目遣いな『女』の表情でエトワール君を誘う。
「ええよ!」
エトワール君も嬉しそうだ。
「何するん?」
エヴァンジェリスト少年とエトワール君も、エヴァンジェリスト少年の自宅の門の外に出た。
「『隠れんぼ』しようかあ」
中学生とはいえ、まだ1年生であり、小学生と大差ない子どもであった。
「やろう、やろう!『クッキー』子ちゃん、ええよね?」
「うん」
首肯いた後、『クッキー』子さんは、一瞬、エヴァンジェリスト少年を見た。そして、微笑んだ。
「(ああ、『クッキー』子さん……)」
4人は、エヴァンジェリスト少年の自宅から10数メートルのところにある空き地に向かった。その空き地の道を挟んだ反対側の土地は、盛り土がされ、一面、広くススキが生えている。そこが『隠れんぼ』の場所になる。
(続く)
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