『少年』は、その年(1967年)にフランスからツイッギーが来日し、ミニスカートが流行となったものの、普段、自分の周りではなかなかミニスカートを履く女性を見かけることはな買ったが、そんなことではハブテン少年ではあったのだ。
だって、ハブテルと、
「あんたあ、ハブテンさんな」
と母親に叱られるのだ。
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(ハブテン少年[その70]の続き)
「いや~ん!」
と云って、『クッキー』子さんは、ススキの原を逃げる。『隠れんぼ』で鬼となったエヴァンジェリスト少年に見つかったのだ。
「待てえー!」
エヴァンジェリスト少年が、その日、自宅で、『ミドリチュー』(広島市立翠町中学)1年の同じクラスの友人エトワール君と遊んでいる時、そこにやって来た『クッキー』子さんとエトワール君の好きな女の子と、近所の空き地とススキの原で『隠れんぼ』をすることになったのだ。
「グサッ、グサッ、グサッ」
『クッキー』子さんは、ススキを掻き分け、踏みつけながら逃げる。
「待てえー!」
ススキの原を走るのは、やはり男のエヴァンジェリスト少年の方が速い。
「いや~ん!」
その声を聞く度に、自分の心の中に何か、自分ではコントロールできぬ邪悪なものが芽生えるのを感じる。しかし、幸いにも背を向けて逃げる『クッキー』子さんには、普段とは違う顔を見られずに済んでいる。
「待てえー!」
ススキの原を行く『クッキー』子さんの脚は、ススキを避けて膝から下が跳ね上がる。
「(うっ!)」
エヴァンジェリスト少年は、唾が喉に詰まる。『クッキー』子さんの脚が跳ね上がり、その瞬間、スカートも揺らめき、膝裏とその少し上の太ももが見えた。
「いや~ん!」
少年の視線は、逃げる少女の脚に据えられ、少年の両眉はつり上がっている。
「待てえー!」
もうそこに少女がいた。
(続く)
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