『少年』は、その年(1967年)、サントリーが瓶入り生ビル『純生』を発売開始したものの、サントリーはウイスキーの会社なのにビールも作っていいのかと思ったが、そんなことではハブテン少年ではあったのだ。
だって、ハブテルと、
「あんたあ、ハブテンさんな」
と母親に叱られるのだ。
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(ハブテン少年[その74]の続き)
「(『クッキー』子さん…..)」
背を向けた心の『妻』を凝視めながら、エヴァンジェリスト少年の鼻は、先程嗅いだ『妻』の匂いに酔い、彼の手は、先程感じた『妻』の体の柔らかさに脈打った。
「エヴァ君、隠れようや」
一緒に`『隠れんぼ』をしている『ミドリチュー』(広島市立翠町中学)1年の同じクラスの友人エトワール君が、声を掛けてきた。
「うん」
と答えたものの、エヴァンジェリスト少年は、直ぐには動くことができなかった。股間の『異変』がまだ引いていなかったのだ、
「どしたん?」
エトワール君は何も知らない。
「うん」
「エヴァ君、隠れようや」
「うん」
なんとか足を踏み出した。
「じゃ、『クッキー』子さん、私たち隠れるけえね」
と云うと、エトワール君の好きな女の子は、ススキの群れの中に入って行った。
「エヴァ君、隠れるで」
「うん……」
と、云いながらも、エヴァンジェリスト少年は、空き地に面したアパートの壁に右腕をつけ、その腕に両眼を当てて目隠しをした『妻』の背中を凝視目ていた。
「(柔らかったあ……)」
大人になり始めた『妻』の体の柔らかさが、掌に蘇る。
「んぐっ!」
掌に蘇った衝撃は、再び、腕を辿り、肩を抜け、胴を下に通り抜け、体のあるところに『異変』を生じさせた。
(続く)
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