『少年』は、その年(1967年)、美濃部亮吉が都知事と東京に憧れはあったものの、そこで生活できることなど想像もできなかったが、そんなことではハブテン少年ではあったのだ。
だって、ハブテルと、
「あんたあ、ハブテンさんな」
と母親に叱られるのだ。
************************
(ハブテン少年[その73]の続き)
「つ、つ、捕まえたよ」
自らの股間に生じた『異変』に気付かれまいと、エヴァンジェリスト少年は、なんとか言葉を発した。
「うん、捕まえられた」
『クッキー』子さんも、自らの鼻がある臭いを感じ取ったことを悟られてはいけないと、鸚鵡返しのような言葉を発した。
「捕まえたからね」
その日、自宅で、『ミドリチュー』(広島市立翠町中学)1年の同じクラスの友人エトワール君と遊んでいる時、そこにやって来た『クッキー』子さんとエトワール君の好きな女の子と、近所の空き地とススキの原で『隠れんぼ』をし、鬼となったエヴァンジェリスト少年は、ススキの陰に隠れた『クッキー』子さんを見つけ、逃げ出した彼女を追い、、肩から背中にかけた辺りをタッチしたのだ。そう、捕まえたのだ。
「うん、捕まえられた」
少年と少女は向き合ったまま、同じ言葉を繰り返した。
「何しとるん?」
『クッキー』子さんの友だちで、エトワール君の好きな女の子が、訊いてきた。
「『クッキー』子ちゃん、今度は鬼やりんちゃいや」
捕まえられた者が次の鬼となる。
「うん」
『クッキー』子さんは、エヴァンジェリスト少年と向き合っていた体を反転させた。
(続く)
0 件のコメント:
コメントを投稿