2019年10月28日月曜日

ハブテン少年[その74]




『少年』は、その年(1967年)、美濃部亮吉が都知事と東京に憧れはあったものの、そこで生活できることなど想像もできなかったが、そんなことではハブテン少年ではあったのだ。

だって、ハブテルと、

「あんたあ、ハブテンさんな」

と母親に叱られるのだ。


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「つ、つ、捕まえたよ」

自らの股間に生じた『異変』に気付かれまいと、エヴァンジェリスト少年は、なんとか言葉を発した。

「うん、捕まえられた」

『クッキー』子さんも、自らの鼻がある臭いを感じ取ったことを悟られてはいけないと、鸚鵡返しのような言葉を発した。

「捕まえたからね」

その日、自宅で、『ミドリチュー』(広島市立翠町中学)1年の同じクラスの友人エトワール君と遊んでいる時、そこにやって来た『クッキー』子さんとエトワール君の好きな女の子と、近所の空き地とススキの原で『隠れんぼ』をし、鬼となったエヴァンジェリスト少年は、ススキの陰に隠れた『クッキー』子さんを見つけ、逃げ出した彼女を追い、、肩から背中にかけた辺りをタッチしたのだ。そう、捕まえたのだ。

「うん、捕まえられた」

少年と少女は向き合ったまま、同じ言葉を繰り返した。



「何しとるん?」

『クッキー』子さんの友だちで、エトワール君の好きな女の子が、訊いてきた。

「『クッキー』子ちゃん、今度は鬼やりんちゃいや」

捕まえられた者が次の鬼となる。

「うん」

『クッキー』子さんは、エヴァンジェリスト少年と向き合っていた体を反転させた。

(続く)




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