2019年10月26日土曜日

ハブテン少年[その72]




『少年』は、その年(1967年)、資生堂が男性用化粧品『MG5』を発売開始し、CM出演した段治郎がハンサムと評判になったものの、自分の方がハンサムであることを知っていたが、そんなことではハブテン少年ではあったのだ。

だって、ハブテルと、

「あんたあ、ハブテンさんな」

と母親に叱られるのだ。


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「捕まえたあ!」

エヴァンジェリスト少年は、勝ち鬨を上げた。自宅近くのススキの原だ。『隠れんぼ』で、ススキの陰に隠れていた『クッキー』子さんを見つけ、逃げる彼女を追いかけ、肩から背中にかけた辺りをタッチしたのだ。

「んぐっ!」

タッチした瞬間であった。立ち止まった。捕まえたのだから、立ち止まって不思議ではなかったが、エヴァンジェリスト少年が立ち止まったのは、自らの手に衝撃を感じたからであった。

「(柔らかい……)」



それは、これまで感じたことのない柔らかさであった。

「(『クッキー』子さん!)」

それは、大人になり始めた少女の柔らかさであった。

「んぐっ!」

気付くと、手に感じた衝撃は、腕を辿り、肩を抜け、胴を下に通り抜け、体のあるところに『異変』を生じさせていた。

「んぐっ!」

風が吹いた………

(続く)




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