『少年』は、その年(1967年)、資生堂が男性用化粧品『MG5』を発売開始し、CM出演した段治郎がハンサムと評判になったものの、自分の方がハンサムであることを知っていたが、そんなことではハブテン少年ではあったのだ。
だって、ハブテルと、
「あんたあ、ハブテンさんな」
と母親に叱られるのだ。
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(ハブテン少年[その71]の続き)
「捕まえたあ!」
エヴァンジェリスト少年は、勝ち鬨を上げた。自宅近くのススキの原だ。『隠れんぼ』で、ススキの陰に隠れていた『クッキー』子さんを見つけ、逃げる彼女を追いかけ、肩から背中にかけた辺りをタッチしたのだ。
「んぐっ!」
タッチした瞬間であった。立ち止まった。捕まえたのだから、立ち止まって不思議ではなかったが、エヴァンジェリスト少年が立ち止まったのは、自らの手に衝撃を感じたからであった。
「(柔らかい……)」
それは、これまで感じたことのない柔らかさであった。
「(『クッキー』子さん!)」
それは、大人になり始めた少女の柔らかさであった。
「んぐっ!」
気付くと、手に感じた衝撃は、腕を辿り、肩を抜け、胴を下に通り抜け、体のあるところに『異変』を生じさせていた。
「んぐっ!」
風が吹いた………
(続く)
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