『少年』は、その年(1968年)、猛烈な人気となっていたグループ・サウンズの『ザ・タイガース』が唄う『シーサイド・バウンド』という曲のどこがいいのか分らなかったが、そんなことではハブテン少年ではあったのだ(そもそもハブテルことでもなかった)。
だって、ハブテルと、
「あんたあ、ハブテンさんな」
と母親に叱られるのだ。
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(ハブテン少年[その109]の続き)
「(んぐっ!)」
と、『パルファン』子さんとの『付き合い』の中身を妄想したエヴァンジェリスト少年が、股間を抑え、
「(いや、したいのは、キスではない!いやいや、キスもしたいが、それ以上のことだ。ああ、『結婚』だ。でも、まだ中学生なんだ。でも……)」
と、胸で大きく呼吸をしたことも、
「(んぐっ!)」
と、再度、股間を抑えたことも、
「(したい!けれど、『結婚』は、まだ許されないのだ。ボクにはまだ稼ぎがない。『妻』を食べさせていくことはできない。でも……)」
もっと強く股間を抑えたことも、
「(んぐっ!)」
『パルファン』子さんの像が、眼前に浮かび
「(したい!けれど……でも、ボクと『結婚』してくれないか、なんて云えない)」
自宅の子ども部屋で、股間を抑えたまま思ったことも、『パルファン』子さんは知らなかったであろう。しかし……
「アタシは、『あの人』が好きなカレーを作って、帰りを待つの」
と、『パルファン』子さんだって、『結婚』を妄想していたかもしれない。
「パパが帰ってきたら、お風呂に入れてもらおうね」
と、子どもがいる『結婚』生活をを妄想していたかもしれない。
「そうだわ。『あの人』との間に子どもがいるの」
と思って、頬をピンクに染めていたかもしれない。
「ま!アタシったら!」
子どもは、コウノトリが運んでくるものではないことは、もう知っていたのだ。そして……
「(んぐっ!)」
とまでなっていたかは定かではない。
(続く)
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