2019年12月3日火曜日

ハブテン少年[その110]




『少年』は、その年(1968年)、猛烈な人気となっていたグループ・サウンズの『ザ・タイガース』が唄う『シーサイド・バウンド』という曲のどこがいいのか分らなかったが、そんなことではハブテン少年ではあったのだ(そもそもハブテルことでもなかった)。

だって、ハブテルと、

「あんたあ、ハブテンさんな」

と母親に叱られるのだ。


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「(んぐっ!)」

と、『パルファン』子さんとの『付き合い』の中身を妄想したエヴァンジェリスト少年が、股間を抑え、

「(いや、したいのは、キスではない!いやいや、キスもしたいが、それ以上のことだ。ああ、『結婚』だ。でも、まだ中学生なんだ。でも……)」

と、胸で大きく呼吸をしたことも、

「(んぐっ!)」

と、再度、股間を抑えたことも、

「(したい!けれど、『結婚』は、まだ許されないのだ。ボクにはまだ稼ぎがない。『妻』を食べさせていくことはできない。でも……)」

もっと強く股間を抑えたことも、

「(んぐっ!)」

『パルファン』子さんの像が、眼前に浮かび

「(したい!けれど……でも、ボクと『結婚』してくれないか、なんて云えない)」

自宅の子ども部屋で、股間を抑えたまま思ったことも、『パルファン』子さんは知らなかったであろう。しかし……

「アタシは、『あの人』が好きなカレーを作って、帰りを待つの」

と、『パルファン』子さんだって、『結婚』を妄想していたかもしれない。

「パパが帰ってきたら、お風呂に入れてもらおうね」

と、子どもがいる『結婚』生活をを妄想していたかもしれない。

「そうだわ。『あの人』との間に子どもがいるの」

と思って、頬をピンクに染めていたかもしれない。

「ま!アタシったら!」

子どもは、コウノトリが運んでくるものではないことは、もう知っていたのだ。そして……



「(んぐっ!)」

とまでなっていたかは定かではない。


(続く)



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