『少年』は、当時(1967-1969年頃)、『ザ・タイガース』と並んで猛烈な人気となっていたグループ・サウンズの『ザ・スパイダース』のメンバーである『かまやつひろし』が何故、『ムッシュ』なのか分らなかったが、そんなことではハブテン少年ではあったのだ(そもそもハブテルことでもなかった)。
だって、ハブテルと、
「あんたあ、ハブテンさんな」
と母親に叱られるのだ。
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(ハブテン少年[その124]の続き)
「カモーン、ギブアップ!?」
『ミドリチュー』(広島市立翠町中学)の音楽室の入り口前のスペースで、ジャスティス君を、その日もコブラ・ツイストで捻りあげていた。
「うっ!」
ジャスティス君は、歯を食いしばる。
「カモーン!カモーン!」
エヴァンジェリスト少年は、更に捻りあげる。
「ノー!ノー、ノー、ノー!」
ジャスティス君は、頑張る。
「(いいぞ、いいぞ!その調子)」
友人が簡単にギブアップしないことが嬉しい。
「(姿を見せてくれ!)」
エヴァンジェリスト少年の視線は、窓の向こう、本校舎の教室に向っている。姿はまだ見えないのに、既に『異変』が生じ始めている。
「(クラブが始まる前にと思って、早めに来たんだから)」
あの『肉感的』な少女は、クラブ活動でバレーボールをしていることが分ったのだ。だから、自分の授業が終ると、早々に音楽室まで来たのだ。
「早くおいでよ」
ジャスティス君も誘っておいた。しかし、ブラスバンドの練習をしようとしたのではなかった。ジャスティス君も、そのことは分っていた。友人が、好きでサックスを吹いているのではないことを知っていたからだ。
「(また、コブラ.ツイストかあ….)」
ジャスティス君の想像通り、音楽室に行くなり、エヴァンジェリスト少年に音楽室前のスペースに連れて行かれ、
「カモーン!カモーン!」
と、コブラ.ツイストをかけられた。しかし、ジャスティス君は、知らなかった、エヴァンジェリスト少年の真意を。コブラ.ツイストの極めがいつもより心持ち弱いとは思った。そして、自分の臀部に若干の違和感を感じたが、まさか、
「(まだかなあ…..)」
と、プロレス以上に関心があるものが、窓の向こうにあるとは知らず、
「ノー!ノー、ノー、ノー!」
と、ジャスティス君は、友人のプロレスに付き合っていたのだ。
(続く)
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