『少年』は、その年(1969年)、猛烈な人気となっていたグループ・サウンズの『ザ・タイガース』のボーカルの沢田研二のどこがいいのか分らなかったが、そんなことではハブテン少年ではあったのだ(そもそもハブテルことでもなかった)。
だって、ハブテルと、
「あんたあ、ハブテンさんな」
と母親に叱られるのだ。
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(ハブテン少年[その111]の続き)
「(ボクは、断った)」
『ミドリチュー』(広島市立翠町中学)2年生のエヴァンジェリスト少年は、そう、自らの意思で断ったのだ。
「キミがするといいと思うんだけどなあ」
と、担任の『オーカクマク』先生に勧められた生徒会長になることを、自らの意思で断ったのだ。
「(お母ちゃんに云わんといけん)」
と思ったが、
「(絶対、『あんたあ、やりんさい!』と云う)」
と、母親に相談した結果は眼に見えていた。しかし、生徒会長になることには全く興味はなかった。
「(ボクは、そんなにキレイな人間ではないんだ)」
生徒会長って、清廉潔白な人間がするものと思っていた。
「(ボクは、このところ、『んぐっ!』ばかりしているんだ)」
と、股間を抑える。エヴァンジェリスト少年は、『己を見る』少年であった。
「(『ミドリチュー』の生徒のみんなのことなんか、どうでもいいんだ)」
と、視線は遠くに向う。
「(ああ、『パルファン』子!)」
そう、『パルファン』子さんのことしか、頭にはなかった。
「(ボクは、お母ちゃんに相談もせず、行動したんだ)」
と、胸を張る。
「ボクと付き合ってくれないか?!」
と、下校途中の1学年下の女子生徒『パルファン』子さんを追いかけ、告白したのだ。自分の意志で!正しくは、自分でも止められぬ自分の中の何かに突き動かされて、そんな言動をとったのであったが…….
(続く)
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