『少年』は、当時(1967-1969年頃)、人気となっていたグループ・サウンズの一つである『オックス』のヒット曲『スワンの涙』という曲のどこがいいのか分らなかったが、そんなことではハブテン少年ではあったのだ(そもそもハブテルことでもなかった)。
だって、ハブテルと、
「あんたあ、ハブテンさんな」
と母親に叱られるのだ。
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(ハブテン少年[その128]の続き)
「(んぐっ!んぐっ!んぐっ!)」
『ミドリチュー』(広島市立翠町中学)の音楽室の入り口前のスペースで、友人で同じブラスバンド部(吹奏楽部)のジャスティス君にコブラ・ツイストをかけたままであることも忘れ、窓の向こう、本校舎の教室に見えたものに猛烈に『反応』する。
「(ああ、良かったあ…!んぐっ!んぐっ!)」
エヴァンジェリスト少年は、つい今まで、窓の向こう、本校舎の教室からこちらを凝視める『妻』への贖罪意識に苛まれていたことも忘れ、同じ教室で、『妻』の斜め後ろに姿を見せた女子生徒に安堵しながらも、股間の『異変』は止めようがない。
「(まだ、バレーボールの練習に行っていなかったんだ…!んぐっ!んぐっ!)」
あの『肉感的』な少女である。
「(あなたあ…..)」
『妻』の視線にも気付く。
「(!んぐっ!......綺麗だあ!)」
贖罪意識は消え、心も股間も『反応』する。
「(おおー!)」
『肉感的』な少女も視線をこちらに向ける。体を動かした際に、たまたま顔が窓の外に向っただけであったかもしれなかったが、エヴァンジェリスト少年の心も股間も『反応』の上に『反応』を重ねる。
「(んぐっ!んぐっ!んぐっ!)」
心と股間の『反応』は、エヴァンジェリスト少年の体を反り返らせる。
「ううー、ううー、ひひーっ!」
ジャスティス君があげたものは、呻き声ではなく、もう悲鳴であった。
「(んぐっ!んぐっ!んぐっ!んぐっ!んぐっ!)」
エヴァンジェリスト少年は、自分がコブラ・ツイストをかけていることも忘れ、窓の向こうの2人の少女に心も体も奪われていた。
「ギブアップ!ギブアップ!ギブアップ!」
ジャスティス君は、白眼をむいたが、エヴァンジェリスト少年は、気付かない。
「(んぐっ!んぐっ!んぐっ!んぐっ!んぐっ!)」
エヴァンジェリスト少年の苦しくも幸せな中学3年生の生活は続く。
(続く)
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