2019年12月25日水曜日

ハブテン少年[その129]




『少年』は、当時(1967-1969年頃)、人気となっていたグループ・サウンズの一つである『オックス』のヒット曲『スワンの涙』という曲のどこがいいのか分らなかったが、そんなことではハブテン少年ではあったのだ(そもそもハブテルことでもなかった)。

だって、ハブテルと、

「あんたあ、ハブテンさんな」

と母親に叱られるのだ。


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「(んぐっ!んぐっ!んぐっ!)」

『ミドリチュー』(広島市立翠町中学)の音楽室の入り口前のスペースで、友人で同じブラスバンド部(吹奏楽部)のジャスティス君にコブラ・ツイストをかけたままであることも忘れ、窓の向こう、本校舎の教室に見えたものに猛烈に『反応』する。

「(ああ、良かったあ…!んぐっ!んぐっ!)」

エヴァンジェリスト少年は、つい今まで、窓の向こう、本校舎の教室からこちらを凝視める『妻』への贖罪意識に苛まれていたことも忘れ、同じ教室で、『妻』の斜め後ろに姿を見せた女子生徒に安堵しながらも、股間の『異変』は止めようがない。

「(まだ、バレーボールの練習に行っていなかったんだ…!んぐっ!んぐっ!)」

あの『肉感的』な少女である。

「(あなたあ…..)」

『妻』の視線にも気付く。

「(!んぐっ!......綺麗だあ!)」

贖罪意識は消え、心も股間も『反応』する。

「(おおー!)」

『肉感的』な少女も視線をこちらに向ける。体を動かした際に、たまたま顔が窓の外に向っただけであったかもしれなかったが、エヴァンジェリスト少年の心も股間も『反応』の上に『反応』を重ねる。

「(んぐっ!んぐっ!んぐっ!)」

心と股間の『反応』は、エヴァンジェリスト少年の体を反り返らせる。

「ううー、ううー、ひひーっ!」

ジャスティス君があげたものは、呻き声ではなく、もう悲鳴であった。

「(んぐっ!んぐっ!んぐっ!んぐっ!んぐっ!)」

エヴァンジェリスト少年は、自分がコブラ・ツイストをかけていることも忘れ、窓の向こうの2人の少女に心も体も奪われていた。



「ギブアップ!ギブアップ!ギブアップ!」

ジャスティス君は、白眼をむいたが、エヴァンジェリスト少年は、気付かない。

「(んぐっ!んぐっ!んぐっ!んぐっ!んぐっ!)」

エヴァンジェリスト少年の苦しくも幸せな中学3年生の生活は続く。


(続く)




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