2019年12月19日木曜日

【老人たちの戯言】美輪明宏か、志垣太郎か、『緑のおじさん』か?[ビエール・トンミー氏の秘密]




「おい、おい、判ったぞ!」

ビエール・トンミー氏のiPhone X に、なにやら興奮気味のiMessageが、友人のエヴァンジェリスト氏から届いた。

「なんだ?朝っぱらから、五月蝿いなあ」

朝っぱらから、とはいえ、ビエール・トンミー氏は、以前ほどではないが、今でも時に、深夜中、起きて、録画したドキュメンタリー系のビデを見、明け方に寝ることもある為(アッチ系のビデオではないので勘違いなきよう、とは本人の言である)、午前5時過ぎは、実は、『朝っぱらから』と文句をつけるようなものでもないが、友人が何か面倒臭いことを云ってこようとしていることは分っていたので、五月蝿がってみせる。

「昨日、君は何故、美輪明宏が髪を『緑』にしたことに関心を持ったのだ?」


「はああ?ああ、もうそれはいい」
「惚けるな。芸能界に疎いというか、関心のない君がそのことをよく知っているものだと、どこか引っ掛かっていたんだ」
「歴史には関心がある、って云っただろう」
「美輪明宏が天草四郎の生まれ変わりだってことか?」
「ああ、そうだ」
「ふん!君はそれを信じているのか?」
「いやまあ、それは……」
「真偽のほどは別として、天草四郎の生まれ変わりであるという美輪明宏が今、「新たけのこ党党首」となり、髪の色を『緑』にして鳥(フェニックス)であると云い出したことが、気に食わんのだろう?」
「ああ、ああ、そうだとも」
「だったら、何故、美輪明宏がピカチュウの生まれ変わりでもあると言い出した時に文句を云わなかったのだ?」
「はああ?ああ、もうそれはいいからあ」
「君は、元々は美輪明宏にも天草四郎にもピカチュウにも興味はなかったんだ」
「んん?....まあ、そうだが、何を云いたいんだ?
「君は、志垣太郎にも興味はなかったんだ」
「は?ますます何を云っているのか、判らんぞ」
「志垣太郎は、『緑』のスーツを着ているんだぞ」
「…ああ、それも『プロの旅人』に書いてあったな」
「思い出したか。ボクが東北・上越新幹線のホームで志垣太郎が『緑』色のスーツを着ていたのを目撃したことが『プロの旅人』に書かれたのは、もう5年も前のことだ。君が、ご近所で『熟女好きのロリコン』って噂になっていた頃だ」


「うっ!だから、それはガセだって云っただろう!ボクは、ヘンタイであることは認める!でも、熟女好きではないし、ロリコンではない。若い女性が好きではあるがな」



「あの頃、君は、志垣太郎が『緑』のスーツを着ていていること知っても、全然、関心を持たなかった」
「だって、志垣太郎は天草四郎の生まれ変わりではないからだ」
「ふん、ふん!君は、あの頃、『緑』に興味がなかっただけだ」
「ああ、もうどうでもいいが、意味不明だぞ、君の云うことは」
「君は自分でも気付いていないのだろうが、君は今、『緑』に囚われているんだ。だから、『緑』に敏感に反応してしまうんだ」
「ああ、もういいかあ。ボクは寝る」
「君は、母校の広島県立広島皆実高校の校歌を歌えるか?『家族そろって歌合戦』で有名な高木東六さん作曲の校歌だ。『♬光よみがえる~♫』だ」
「もういい加減にしてくれないか!ボクは、広島皆実高校の出身ではない。広島市立牛田中学を卒業した後、謎の3年間を広島で過ごし、その後、ハンカチ大学商学部に入ったのだ。ふん!」
「ああ、どこかの総理大臣、どこかの政府みたいだな。あったことをなかったことにするのか。だが、まあ、いいだろう。では、牛田中学の校歌を歌ってみろ」
「ああ、いいとも。『みどり♫』….うっ!」
「ふふ。判ったか?じゃあ、ボクの出身小学校である広島市立皆実小学校の校歌を歌ってやろう。『みーどりしーたーたる♫』」
「うっ、うっ!止めろ、止めろ!止めてくれ!」
「どうだ、君は今、『緑』に反応するんだ。しかし、君は判っていない。君は、『緑』を嫌いな訳ではないんだ」
「え?」
「むしろ今、君はすすんで『緑』を選ぼうとしている」
「どういうことだ?」
「君は、『緑のおじさん』になろうとしているではないか」
「な、なんだ?『緑のおばさん』なら知っているが」


『緑のおばさん』こと、『学童擁護員』では君は我慢ならぬはずだ」
「意味不明だが、『おばさん』に興味がないことは確かだ」
『緑のおじさん』は、駐車監視員なんだぞ」
「え?え!ええー!!!」
「来年(2020年)には、駐車監視員になろうとしているそうじゃないか。一体、何が君にあったんだ?」
「うっ!知らん、知らん!ノーコメントだ!」
「駐車違反絡みで何かあったのか?」
「ノーコメントだ!事務所を通してくれ!」
「駐車監視員になって、何か恨みでも晴らそうとしているのか?」
「ノーコメント、ノーコメント、ノーコメントだ!事務所を通してくれ!」

と、その時であった。

「アータ、これ、なあに?」

マダム・トンミーが、ダイニング・テーブルに何かを見つけたようであった。

「『仮納付書・領収書』?15,000円って高いわねえ。…ああ、『放置…』」


(おしまい)


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