2019年12月13日金曜日

ハブテン少年[その120]




『少年』は、当時(1967-1969年頃)、『ザ・タイガース』と並んで猛烈な人気となっていたグループ・サウンズの『ザ・スパイダース』の『風が泣いている』という曲のどこがいいのか分らなかったが、、そんなことではハブテン少年ではあったのだ(そもそもハブテルことでもなかった)。

だって、ハブテルと、

「あんたあ、ハブテンさんな」

と母親に叱られるのだ。


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「カモーン、ギブアップ!?」

その日は、スキヤキ君を相手にプロレスごっこをしていた。スキヤキ君は、がっしりした体型のジャスティス君よりも体が華奢なので、コブラ・ツイストがより締まる。

「うっ、うっ、うっー!」

『ミドリチュー』(広島市立翠町中学)の音楽室の入り口前のスペースである。そのすぐ横にある窓の向こう、対面にある本校舎の教室に『妻』の姿が見えた。

「(あ!『パルファン』子!)」

そして、『妻』が、こちらに顔を向けた。

「(んぐっ!)」

体は正直だ。

「(マズイ!)」

コブラ.ツイストで体をスキヤキ君の体に密着させていた。

「(うっ!バレる!)」

だったら、技を解けばいいのだが、エヴァンジェリスト少年は、より強く友人を締め上げた。すぐに決着をつけようとしたのだ。

「カモーン!カモーン!カモーン!」

それは、プロレスが超えてはいけない一線を超えた締め付け方であった。

「うっ、うっー!ギブアップ!ギブアップ!ギブアップ!」

スキヤキ君は、堪らずギブアップをし、エヴァンジェリスト少年もコブラ・ツイストを解いた。

「いてて、いてて…..」

スキヤキ君は、コブラ・ツイストで決められていた腰の横と、その対角線にある肩を押さえながら、呻いた。

「うっ、うっ!」

攻撃していた方のエヴァンジェリスト少年も呻いた。両手は股間にあった。

「(危なかったあ。まるでウンギリギッキ!』だった)」

『広島市立皆実小学校』6年生の時に流行った遊びを思い出した。6年10組の教室の横にあった体育用具準備室で、クラスの男子生徒たちは、休憩時間になると、別の男子生徒に背後から抱きつき、股間を相手の臀部に押し当て、腰を前後に振理、その腰の振りに合せて、

「ウンギリギッキ!ウンギリギッキ!」

と叫んでいたのだ。

抱きつかれた方の生徒は、

「ヒェーッ!」

という悲鳴を上げ、逃げてようとするが、襲う方の生徒は、腰からついて行き、腰を振る、を繰り返した。

「ウンギリギッキ!ウンギリギッキ!」







その遊びを思い出していた。6年生の時は、その『行為』が何を意味するか理解していなかったが、今は、十分にとまではいかないまでも、それが『ソレ』を意味することくらいは理解していた。

「(いや、違う!違う!)」

エヴァンジェリスト少年は、無言で頭を振った。


(続く)



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