『少年』は、当時(1967-1969年頃)、『ザ・タイガース』と並んで猛烈な人気となっていたグループ・サウンズの『ザ・スパイダース』の『風が泣いている』という曲のどこがいいのか分らなかったが、、そんなことではハブテン少年ではあったのだ(そもそもハブテルことでもなかった)。
だって、ハブテルと、
「あんたあ、ハブテンさんな」
と母親に叱られるのだ。
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(ハブテン少年[その119]の続き)
「カモーン、ギブアップ!?」
その日は、スキヤキ君を相手にプロレスごっこをしていた。スキヤキ君は、がっしりした体型のジャスティス君よりも体が華奢なので、コブラ・ツイストがより締まる。
「うっ、うっ、うっー!」
『ミドリチュー』(広島市立翠町中学)の音楽室の入り口前のスペースである。そのすぐ横にある窓の向こう、対面にある本校舎の教室に『妻』の姿が見えた。
「(あ!『パルファン』子!)」
そして、『妻』が、こちらに顔を向けた。
「(んぐっ!)」
体は正直だ。
「(マズイ!)」
コブラ.ツイストで体をスキヤキ君の体に密着させていた。
「(うっ!バレる!)」
だったら、技を解けばいいのだが、エヴァンジェリスト少年は、より強く友人を締め上げた。すぐに決着をつけようとしたのだ。
「カモーン!カモーン!カモーン!」
それは、プロレスが超えてはいけない一線を超えた締め付け方であった。
「うっ、うっー!ギブアップ!ギブアップ!ギブアップ!」
スキヤキ君は、堪らずギブアップをし、エヴァンジェリスト少年もコブラ・ツイストを解いた。
「いてて、いてて…..」
スキヤキ君は、コブラ・ツイストで決められていた腰の横と、その対角線にある肩を押さえながら、呻いた。
「うっ、うっ!」
攻撃していた方のエヴァンジェリスト少年も呻いた。両手は股間にあった。
「(危なかったあ。まるで『ウンギリギッキ!』だった)」
『広島市立皆実小学校』6年生の時に流行った遊びを思い出した。6年10組の教室の横にあった体育用具準備室で、クラスの男子生徒たちは、休憩時間になると、別の男子生徒に背後から抱きつき、股間を相手の臀部に押し当て、腰を前後に振理、その腰の振りに合せて、
「ウンギリギッキ!ウンギリギッキ!」
と叫んでいたのだ。
抱きつかれた方の生徒は、
「ヒェーッ!」
という悲鳴を上げ、逃げてようとするが、襲う方の生徒は、腰からついて行き、腰を振る、を繰り返した。
「ウンギリギッキ!ウンギリギッキ!」
その遊びを思い出していた。6年生の時は、その『行為』が何を意味するか理解していなかったが、今は、十分にとまではいかないまでも、それが『ソレ』を意味することくらいは理解していた。
「(いや、違う!違う!)」
エヴァンジェリスト少年は、無言で頭を振った。
(続く)
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